高城 これは本当にヒットのセオリーなのです。例えばいろいろなものに名前をつけてくれとかとよく言われるのです。クリエと、これは僕がつけたのではないのですが、アイボをつけたとき一緒にいたのですが、とにかく「あ」で始まるといいとかあるのです。アップルとかサンとか、アメリカオンラインとか、マイクロソフトとか、IBMとか、アマゾン・ドット・コムとか、やはり「あ」で始まると強いという事実があるのです。それで名前も主人公に強いイメージを与えたかったら、何か弱いのだけれども実は芯は強いとかというときは「あ」で始めたりとかいろいろあるのです。だから「東京ラブストーリー」の完治(かんち)とか、強い名前でいくといい。本当に格好よくて木村拓哉のような奴で、割と強そうに見える奴に「あ行」の名前をつけるとちょっと強過ぎるのです。それを「あ行」を外して「う行」とか「え行」くらいでいくとちょうどよくなったりとか、ヒットをつくるセオリーが全部あるのです。
牧野 アイボも「あ」から始まっていますね。前後して申し訳ないのですが、先ほどたまたまスタートのときに、「私は非常に幅広い興味を持っている」とおっしゃった。その中にアイボの2世代目が今登場してきたことが話題になりましたが、これはたまたま、日本にできたのですか?やはり、日本だからできたのでしょうか。
高城 いろいろな意見がありますが、一番初めの会議で与えられたミッションというのは、ゲームの次に来るものは何だろうかということから始まったのです。それであそこの事業室長の大槻さんという人はソニーを辞めてナムコに行ったのですが、ナムコを辞めてまた戻ってきて、それでアイボを作り始めたのです。戻ってきてしばらくしてから僕が呼ばれて行って考え始めたのですが、ゲームの次の文化を日本から出そうというのが根本でありました。それと土井さんという常務があそこにいて、お二人ともすごく変わった人なのですが、土井さんは気功をやっていて、大槻さんは整体をやっていてよく僕の骨とかを治してくれるのです。これで今日大丈夫とかと言って、すごく変わった人たちで、その人たちが考えているので楽しく仕事をすることができました。