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ですからメディアとメディウムの関係は恐らく今後携帯電話になろうが、インターネットになろうが、それは構造的なことで言えば非常に近いと思います。昭和天皇がなくったときに京都のある村、天皇家をずっと埋葬する人たちの村があるのですが、その人たちに宮内庁が声をかけなかったらというのが神の終わりであるということが京都新聞の社説に出ていましたが、僕は全くそれは賛成であり、賛成というか事実であり、すなわち宮内庁までもが日本のかつての神様の、神国のシステムを捨てていく、より合理的なものに動いている。その合理的な頂点がITである。

僕も仕事がコミュニケーションなのでどうしてもITになりがちですが、ITというのは必ずも利便性をもたらすのではありません。ヒットの構造をもうちょっとわかりやすく言うと、ITとヒットの関係もわかりやすくグラフで書きます。こちらは昔の映画、今の映画、これは縦の矢印のとおり盛り上がり、そしてこちらは時間です。普通、昔の映画はまずこの辺から始まって、ジャンジャラジャンジャラとこうやって盛り上がっていくのです。「風と共に去りぬ」のようにずらずらやって、こうやって盛り上がっていきます。今の映画は、初めにガーンというところから始まります。「ジュラシック・パーク」でいきなり人が食われたりとか、「クリフハンガー」でいきなり人が死んだりとか何でもいいですが、いきなりガーンというところで始まって、中だるみがあって、また後半で盛り上がる、こういうU型の構造になっているのです。なぜこれがITと関係があるのか。これがポイントです。

まずこれは昔と今とあえて書きましたが、実は音楽でも一緒です。昔の艶歌、テンテラランランタラリラリンなんてだんだん盛り上がってきて、イントロから始まってAメロディ、ここでBメロディ、C、よくサビと言いますね。艶歌はもともとは、演説歌の「説」が取れて演歌になっているわけです。説明が要らなくなり、それが色という字に変わって、だんだん盛り上がって、コードはAマイナーから始まって盛り上がってくる。

 

 

 

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