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それは「踊る大捜査線」でもいいです。宇多田ヒカルでもいいです。「タイタニック」でもいいです。特に日本においては大ヒットか、本当にヒットしないものか両極端に分かれていますね。何しろ日本では宗教感がありません。所得格差も余りありません。民族格差もほとんどありません。ということを考えると、ほとんど我々が信じているものは流行とか隣の人のものなので、ますます世の中は大ヒットの傾向にあると思います。

 

牧野 今、宗教観というお話が出ました。日本の神道に関して、これは、ある神社庁の方に直接聞いたお話ですから確かなものですが、「私は日本の神道はヨーロッパ的な意味での「宗教」だとは思っていない。なぜならば経典がないからだ」と言うわけです。ですからご神体は岩であったり木であったりするのですが、そこに神様が神主の声にのって、おお―っと、お寄りになってくるというようなことがある。言ってみれば自然宗教である。何か一人のカリスマがいて、それに帰依しないと、あとはもう生か死かというような非常に厳しい選択を受けるのではなくて、キリスト様がいらっしゃってもどなたがいらっしゃっても受け入れるというような―。これは宗教でないと言っていますから形態と言っていいかと思いますが、そういう神の受け入れ方をしているという下地があるのではないでしょうか。―つまり、全くの「無宗教」とは違うのです。

そういった融通無碍な国民性がベースにあって、それが1億人という非常に均一的な知識を持った―読者とのキャッチボールの中で磨かれていった。非常に多くの厳しい読者の目を通して磨かれていった。それで日本のマンガ、アニメは成長したのだという意見を私は個人的に持っています。要するにある程度日本市場の信頼性のようなものがあるとしたら、それも作品自体の外側にある「優位性」になるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 

高城 ちょっと質問のフォーカスがずれてしまったような気もしますが、霊性の話をすれば、メディアの語源はメディウムでございますから、イタコを見ればわかるように、その辺に飛んでいるものを入れて絵を映すテレビと基本的に構造は一緒です。

 

 

 

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