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僕は昨日までマレーシアというところにいたのですが、マレーシアはムスリムですから、みんな敬虔なイスラム教徒が額も出さず毎日お祈りします。部屋には必ずメッカの方向が矢印で天井に貼ってあります。いつもその時間が来るとお祈りする人もいっぱいいる。当然ながらヨーロッパの多くはキリスト教というものが、言葉は悪いですけれども支配しています。そういう呪縛からさまざまなストーリーが抜けられないのも確かです。

では日本はどうかと言った場合に、まず宗教感というものは、仏教だという人もいると思いますが、敬虔な仏教徒という言葉が確実に当てはまるかどうかこれはわかりません。我々がいつも信じていたり、心のよりどころにしているものが神ではないとしたら何か。それは香港人のようなお金とも違うと思います。日本人の心の拠り所、それは多分「流行」のようなものではないでしょうか。この流行というと、渋谷ではやっているガングロのようなものを想像しますが、そうではなくて、隣の人が付けているものという意味です。ですから日本人は非常に周りの人を見回すといつも言っていますが、それに近い意味での流行です。隣の子がピカチュウを買うと、私も欲しくなるということが日本では非常に強くて、それと強引に霊性を結び付けられないこともないと思いますが、ちょっと違うような気がします。

 

牧野 強引だという感じがしますか。

 

高城 強引とは言いませんが、キャラクターのマップの話をしたので、ちょっとこれを言います。我々が生きている常という世界があります。これは日常です。この反対にあるところがいわゆる非日常というか、今の霊性の話をしたので、聖なる領域と仮にしましょう。ところが、この聖なる領域と常というものが対抗関係にあるのではないということは、かの中村雄二郎が言いました。すなわち聖の領域というのは天国のような、白いきれいなところと、悪魔のいるような悪い、ブラックなところと、この2つがある。

 

 

 

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