アメリカ人は教えられないわけです。日本でアニメの学校をやっていらっしゃる方もいますが、余りうまくいってなかったりとか、どうもこの先子供が少なくなるとか言っていますが、そんなものはアジアとかアメリカで学校をばんばんつくればいいのです。しかも自分たちでやるのではなくて、提携してその先にやらせる。すなわち外で育てる。我々のところではなくて行った先で何がどれくらいあるのか調査して、それからお約束を決めて、そこにどういうメディアで伝えて、そしてその先の外でいかに育てるかということをします。最後は差異というか優位性というか、当然ながらその先、ほかの国とかの文化とぶつかったり、向こうも負けずに新しいものをつくってきますから、どうそのときに優位性をつくっていくかが課題になります。
昔はグッチもエルメスもルイ・ヴィトンも全部同じような一つの80年代のブランドだったのですが、今日的には圧倒的な差ができています。例えば日本でローカライズしながら日本の携帯電話市場を目指しているグッチや、日本人のためのサイズを考え出すルイ・ヴィトンというのは、明らかにクリスチャン・ディオールなどと違って、圧倒的に優位性を持つことに成功したわけです。すなわち外で育てられて、結果的に優位性に立つブランドというのは物すごくあります。何度も言いますが、これは僕のセオリーではなくて、言わば常識ではありますが、日本のアニメーションや日本のアニメをどこかに持っていったり伝えようというときに、これを考えている人がほとんどいないという現状があります。この辺で一回質問とかをとった方がいいですか。
牧野 ではちょっと一呼吸入れるという意味で、私が最初に口火を切らせていただきます。今おっしゃった優位性という点です。これは今までのフォーラム参加者の方々にも共通の質問としてお聞きしているのですが、日本のマンガ、アニメーションは世界的視点から「特異」な存在とお考えか?そうであるとしたらどのような点であるか?それをお聞かせ願いたいと思います。