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本間 すいません、メトロポリスの本間と申します。

数年前にマンガ喫茶の方をオープンして、去年くらいからマンガ喫茶の形態の方がちょっとおかしな方向に行ってしまったんで、そちらをやめてマンガの研究をやっています。

マンガに関しては、歴史的な見解からしても、ちよっと特殊な状況の産業の成り立ちをしていると考えています。

戦前からマンガはあったんですが、戦後急激に発達したときの背景として、出版社の系列としても、例えば小学館さん、講談社さんというのは、小説とか読み物系にかなり力を入れていました。ところが逆に、ベンチャーとして出てきている少年画報社さん、集英社さんの「おもしろブック」とか、そちらの方は、当時話題になっていた紙芝居の主な作家を起用して、産業として最初から成り立たせました。戦前の場合は講談社さんとか中村漫画とかありますが、大体ある程度限られていたものが、戦後一たん日本の経済自体がリセットされたところから、これからの新しいものとしてマンガの方が勢いづいてきたというのがありました。

今どうして新しい才能が出てこないかというと、マンガの方が産業としてある程度の規模になったときに、最初は紙芝居からも作家をうんと起用していった時期があった。昭和40年代をみても、水木しげるさんとか、コジマゴウセキさんとか、異なる分野からマンガ界に入ってくる人達がたくさんいた。ここに来てそういったものがなくなってきてしまった。

では、新しいやる気のある人たちがすぐマンガ家になれるかというと、なかなか難しくて、その人たちはコミックとかで自主的なものをやるような形になっているという状況になっているんで、なかなか新しいマンガを育てていこうという人たちの方が育ちにくい。かなりシステム化されいることによって、新しい才能が、むしろゲームとか、これから自分たちが活躍できる方に行こうじゃないかということで、魅力の方がかなり変わってきてしまっているというのがあります。

そういう意味では、もう一度マンガの成り立ちから何からを考えて、出版の方も、新たに何かつくろうという人を活用し、新しいベンチャーを育てるという意志をもって取り組んでいけばいいんじゃないかと思います。

 

 

 

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