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大村 私もインキュベーションセンターの委員も大阪でやってるんですよ。でも、私は嫌ですね。そうやって自分の家でやるんです。これは別なんです、はっきり申し上げて。ですから、演出権を取るということがどれほど大事なことかということを言ってるのであって、それはできる限り。何か言うこと聞いたら、そこで…。

 

野崎 演出権はだからお返ししますけどね。

 

大村 それは言うだけですって、みんな。ビデオプロモーションも最初はそう言ってたんですよ。具体的にサンプルつくって持っていったんですね。そうしたら、突如そういう話になったんです。

 

牧野 これは非常に重要なポイントなんですね。映画や長篇アニメーションの場合、必然的に大勢の人でつくる。どうしても人の意見を入れなきゃいけない。マンガ、コミックをやっている人たちは、「自分一人で描けば、物語も主役もわき役も背景もせりふも全部自分で演出できる。そういう魅力があるからストーリーマンガをかいているんだ。」こう言う人が多いですね。これはまさにおっしゃるように、どんな狭いところでも、リンゴ箱1個あって、そこに紙と鉛筆とペンがあれば自分の完全な世界を作ることができる。手塚さんはトイレの中でもマンガをかいたわけですね。すべての演出をしてたんです。ところが、ではそれであっても、完全な自分の演出権かというと、そこに出版社というのがいてですね―。

 

大村 だから、そこが違うんですよ。手塚さんはね、最初大阪の松屋町のあの辺に貸家があったんですよ。それで、手持ちでつくってそこへ置いてやってたんです。だから、売るところまでやってたんです。それが今出版社になって、編集になって。そこのところが、本当に演出権取るんだったら、手売りで売るところまでやって初めてなんですよ。出版社に任せて売るというところがもう違うんです。

 

 

 

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