創作者が初め、地べたを這うようなところから出ていく。これはもう、恐らく世界共通だと思うので、それは構わない。
ただ、アメリカンドリームがあるように、ジャパニーズドリームというのがあるんだろうと思うんですが、日本型のジャパニーズドリームはどんな形か―。無論、それでなくてもいいんですが―、御意見をお聞かせ願いたいんですが、いかがでしょうか。
木村さんは、若者とふだんから接しておられます。マンガの通信教育でたくさんの作家たちがこれから出ようとしてますよね。巣立っていく条件として今の環境をどう、御覧になりますか?
木村 日本漫画学院の木村と申します。
僕は今回お話を聞いて、なるほどなという感想しか持たなかったです。なぜかというと、全然未知の世界だったもので、そういうこともあるんだなということで、自分の仕事に当てはめる気持ちもわかなかったんですけれども。
ただ、今の御質問の中で、うちも通信教育で子供たち、特に小学校、中学校、高校生の子たちをずっと25年やってきてますけれども、やはりマンガの世界だけを取り上げてみても、幾ら才能があっても、運だとかきっかけとか、そういうチャンスがないとなかなか育っていかないケースがあるんですね。
特に今のマンガ界の場合は、不景気ということもあるんでしょうけれども、牧野先生の話にあったように、マンガ家そのものも、地方の人が意外とハングリー精神があるんでね。なかなか貧乏の子が多いんですけれども。
基本的には、僕個人の感じだと、それでいいのかなっていう感じがするんですね。才能ある子はそういう環境の中でもどんどん我慢してくるんだろう、与えられた環境の中でやるやつはだめだと僕自身は思ってますので、そういう中で、自分の興味を示してはい上がってきてこそ本物ができるんじゃないかという、マンガの場合はそういう自分自身のポリシーを持っていますけれども、今のお話の中で、それが一致するかどうかというのはちょっと僕はわかりません。ただ、そういうふうに感じます。