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野崎さんは銀行にいらっしゃって、映画への巨大投資、例えばハリウッドへの投資などもなさってきたとお聞きしましたが、そういう方の目から、今、すばらしい作品が実はこういう小さな部屋からでき上がってくる。創造的情熱をもった若者が、こういう形で生まれているという1つの現実を見せていただいたわけですけれども、どんなふうにお感じになっていますか?

 

野崎 残り時間が30分なので、皆さんの御質問の時問を残したいので、私はちょっと軽くだけ言わせていただきます。

いろいろこれを聞こう、あれを聞こうと思うこともありました。でも、それは見ているうちにわかりましたので、聞くのをやめて、結局、先生の活動を見ていると、何が日本人の得意な分野なのか、というのが見えてくるんですね。

例えば「ジュラシック・パーク」とか「トイ・ストーリー」で100億円かけましたとかいって、それが得意なのがアメリカ人で、我々日本人ができるものは何であるか。感性だとか、情緒だとか、要するに、監督者あるいはプロデューサーとしての工夫が日本人は大得意で、それを凝縮したことを大村先生がやっておられるなと。これを忘れない限り日本は大丈夫じゃないかなという気がちょっとしています。

そういう意味で、SOHOに今脚光を浴びせなければいけないのですが、単にSOHOと言っても、アメリカの真似ばかりするSOHOになってしまっては駄目なんです。日本人の得意とするSOHOを育てていくべきだということを感じました。

銀行のときにハリウッドにお金を貸したり投資したりいろいろしましたが、それはアメリカ式の商業主義に乗っかって儲けさせてもらっただけのことです。金をいっぱいかけてアメリカ式のものをやるのもいいかもしれませんが、それをできるのは一部の人です。

要するに、どういうスピリッツを入れるか。先生を見ていますと、もちろん御自分がテクノロジーの先駆者、技術者であって、かつ、それをやっているうちにアーティストになってしまって、かつ、哲学者でもあるような感じを受けました。

 

 

 

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