映像はすごいおもしろいのができるのはわかっているけれども、怖くてお願いできないと。ひょっとしてできなかったときのことを考えてくださいよと。僕も納得いたしました。それはそのとおりでございます。
しかし、制作プロセスが逆に定着化したおかげで、実は映像そのものの質が下がっていると言わざるを得ないわけでございます。
といいますのは、ディズニーのマンガでも、最近「ターザン」という映画が来ましたね。「ターザン」は皆さん子供のころごらんになったと思いますが、ターザンそのものもスーパーマンですが、ターザンとジェーンが住んでいたあのお家ですね、周りの密林の雰囲気、あの生活の場自体が僕らにとってはあこがれだったんですね。生活感がないといけない。ところが、この前のディズニーの「ターザン」を見てがっかりいたしました。背景はCG屋さんがやってますからフルCG。カメラ何ぼでも行けますんで、すごい勢いでターザンがロープにつかまってわーっと行くときでも、ターザンと一緒に枝の間をびゅーんと行くというすさまじい映像をつくれます。ところが、それは背景でつくってますから、生活感ゼロの背景でございました。どこにターザン住んでるのとか、ターザンが住んだ跡とかですね。ですから、あの映画を見た後で、ターザンが住んでた場所ってどんな場所?とか聞いても、何も印象が残ってないですね。
これは実は、本当に大問題でございます。それは宮崎駿さんのアニメーションにも多少言えることでございまして、70年代から80年代にかけて名作が相次ぎました。「ラピュタ」とか「ナウシカ」とか「魔女の宅急便」とかですね。ここにあります背景は背景ではありません。そこに実際にキャラクターが住んでいる場所でございまして、「ラピュタ」でも、あの場所すごい好きで、あの子たちと月に1回は見てるんですが、生活感漂うといいますか、背景ではなくて、本当にそこに登場するキャラクターたちが生きてる場所なんですね。