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今お見せした2つは両極端でございまして、この両極端の間に山ほどいろいろなものが存在すると。

ちょっと戻りますと、現在の、特に日本の手がきアニメーションは、世界に冠たるものがございますが、そのアニメーションのつくり方は、必ず最初に監督がシナリオをつくって、絵コンテをかく。絵コンテの中にはキャラクターと背景がある。それを、キャラクターはキャラクターアニメーションの部隊に渡して、背景は背景部隊に渡す。そうすると、背景は背景で走ってしまうわけですね、背景画監督がいて。それから、キャラクターアニメーションは、背景のこと無関係にアニメーションだけで走ってしまうと。最後にでき上がったものを合成して、そこへ音を入れるというやり方ででき上がっているわけで、これは、1970年ぐらいですから、約30年にわたって、日本で生まれて定着化してきた制作プロセスでございます。この制作プロセスがきちんとしていますと、アニメーションという商品をつくるときの見積もりと納期、これがしっかりするというわけで、ちゃんと仕事ができるわけでございます。

例えば、テレビ番組を半年引き受けたと。週に30分を1本ずつやるよということになりますと、週30分絶対できないといけないわけであります。ちょっとおくれました、では済まないわけでございます。そうかといって、前もってつくってしまったやつを30分ずつやるのではお金がかかり過ぎると。そうすると、1週間で30分きっちりつくるためにどうしたらいいか。それは、制作プロセスがきちんとルーチン化されてやれる状態でないとできないわけでございます。

実は、キティフィルムに高野さんという監督がいまして、友人ですが、ちょうど2年前に、テレビ番組のアニメーション一緒にやろうよと。僕らがやってる二.五次元おもしろいから、それやりたいねというので、何回か打ち合せをいたしました。ところが、彼がやろうとしているテレビ番組向けの、絵コンテがあって、キャラクターアニメーションがあって、背景があって、それを合成して音を入れるという制作プロセスのどこにも、私どもがやる、シナリオがあって、音を先につくって、いい加減にイメージからスタートして絵をつくるという、演出を全部に手元に引き寄せたつくり方がはまらないんですね。

 

 

 

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