でも、この周りにいる子たちは、大学1年生でございますので、18歳です。普通ですと課題制作とかいって、先生に向けて作品をつくって出すわけですね。でも、先生に向けてつくりますと、先生が見て点つけてくれりゃいいやというんで、それだけで志が低くなるんですね。ロクなものをつくらない。いい加減なものをつくってしまう。これは仮にも劇場で公開いたしますから、手を抜くわけにはいかないわけです。本人たちが劇場へ行って納得する程度にクオリティーを上げないといけない。これぐらいだったら良いかな、という世界ではないわけでございまして、その点教育効果は非常に高いわけでございます。
ただ、この間2カ月ぐらいほとんど学生は授業サボってますし、私も授業サボってましたんで、大学にとってはよかったかどうかわかりません。しかし、20〜30人おりました。交替交替で夜中来て、こうやって徹夜状態ですね。プログラマーが私しかおりませんので、このときほど芸大にもプログラマーがおったらいいなと思ったことはありません。
コンピューターというのは、プログラムをつくれば自分の道具になるわけですね。人がつくったプログラムを使っている限り、お仕着せの道具しか使えない。ですから、ハリウッドなんかでもプログラマーはちゃんといるわけです。ニューヨーク工科大学なんかでも、実験的にプログラマーとアーティストをペアにして仕事をさせるというようなことをやっていたわけですが、いかんせん芸大にはプログラマーがいない。残念ながら、私1人しかいないので、私自身がプログラムを書くことになるのです。
ところが、プログラムを書きながら、でき上がり次第彼らにそれを使わせますと、だんだん興味を持ってまいりまして、どうしてそんなことができるの?私にもできるかしら?と思うようになりました。で、最近は、アーティストたちにプログラムを教えております。あと1年ぐらいかかると思いますが、教えているわけでございます。