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ちょっと余談になりますが、総理大臣賞とかいうのが、何とか官房から電話がかかってきまして、来週差し上げますとかいう話になりまして、いただけるのかなと思ったら、なしのつぶてでございました。ちょっと問い合わせたら、あのコンピューター、どこにも存在してないのでややこしいというので、賞をもらい損ねたこともございます。

そういうコンピューターですので、もともと阪大の中にない方がいいわけです。私、いろいろな会社のコンサルタントをしていましたんで、ある会社の社長さんにお願いしまして、そのフロアを貸していただきまして、そこへ「Links 1」を放り出しました。それでようやく、アーティストたちは仕事ができるになったのです。

問題は、放り出しますと、とたんに電気代と家賃がかかるのでございます。しかし、それを若い子たちに払えと言っても、払うことは不可能ですので、取りあえず私が持つことにしまして、イメージファクトリー、映像工場という名前をつけました。貸し工場であります。仕事をするときに貸してあげるよと。で、3つ条件がありまして、自分で作品をつくるときはただです。それから、勉強するときもただです。相手からお金をもらうときは折半。ですから、50万欲しかったら100万円で受注せよという話ですね。非常に単純明快でございました。

もう1つは、もともと阪大で育ったアーティストたちも、ただで飛び込んできて、そして、みんなにただで教えてもらって成長してきたわけですから、工場は開放する。だれでも入ってきていい、完全にオープンにする。入ってきたら、自分たちも教えてもらったんだから、ただで教えなさいという条件。言うならば、徒弟制度みたいなものですね。お金を取らない徒弟制度。ちょうど江戸時代末期の塾がそうだったと思いますが。これはスポンサーがいないとできないんですが、私ちょっとお金持ってましたんで、しばらくスポンサーしておったわけでございます。

それからすばらしい作品が、ちゃんとお金を取ってできるようになりました。

 

 

 

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