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ところが、コンピューターは阪大の中にございますので、阪大の中でアーティストが商売するとこれは大問題になるわけです。

ところが、もう君たちはできるからいいよ、そとで仕事しなさいって放り出しても、世の中にコンピューターが存在しない。ですから、阪大の私の近くにいれば仕事はできるけれども、それを離れたら道具がないのでみんな困ってしまう。かといって、阪大の中にいる限り仕事ができない、これは問題多いなということで、一計を案じまして、大阪大学にありましたコンピューターを外へ放り出しました。

そもそもこのコンピュータは大坂大学のものではなかったのです。現在では産学共同は善とされておりますが、当時は悪でございました。私はイマジカという会社から15億円フリーハンドでいただいていまして、当時大阪大学工学部全体の年間予算が20億円でございますから、その4分の3に当たる金額を、口先だけで当時の東洋現像所から、何に使ってもいいというので15億円いただいていましたから、その15億円からつくったコンピューターです。大体2億円ぐらいかかりました。

ですからコンピューターを文部省に寄付しないといけなかったんですね。寄付しようと思って、ちゃんと書類つくって事務へ持っていったら、2億円は問題外ですと。100万、200万だったらいいけれども、2億円という金、そんなもん表に出したらとんでもないことになります、ということで、結局宙に浮きまして、大阪大学にあった私の「Links」というコンピューターは、実は幻のコンピューターでございます。大学の帳簿に載っておりません。

で、会計検査が年に1回ございますが、その日は隠すわけでございます。どうやって隠したかと申しますと、その部屋にその辺にある段ボールの箱を山ほどぶち込みますと、全く見えなくなりまして、そこへ学生のスキーとかそういうおもちゃをどーっと並べて、ばっと開けると、段ボールの箱のところにスキーがワっとあるというような部屋にして、その日だけ逃げると。ただ、どうも会計監査の方も知ってらっしゃったようでございます。といいますのは、もう「11PM」を初め、メディアを通じて全国に紹介されておりましたので。

 

 

 

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