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それを、当時ポラロイドカメラで撮影して持って歩いてたんですが、人に見せますと、ふ一ん、という感じなんですね。見た目はプラモデルとそっくりでございますので、プラモデルを撮影したと思われまして、コンピューターでつくったと言っても、全く通じませんでした。

そうこうするうちに、どうもコンピューターがない。当時のコンピューターはほとんどがビジネス用のコンピューターでございました。当時アメリカでもCGがスタートしたばかりでございますが、彼らが使っておりましたコンピューターは、DECという会社のミニコンーピューター、スーパーミニコンピューターを主として使っておりました。その他のコンピューターは、ほとんどビジネス用のコンピューターですから、映像には向いていない。右向いて作られたコンピューターを左向いて使うというわけですから、このギャップを埋めるソフトウェアたるや、非常に難しいわけでございます。

考えてみると、映像に特化したコンピューターというのがあり得る、ということを考えまして、それからコンピューターをつくり始めました。約2年かかりましたが、1981年に、「Links 1」という、当時世界最大の並列コンピューターでございます。プロセッサーを185個並列にいたしまして、ちょうどこの部屋の4分の1ぐらいのサイズですが、全部手づくりでございました。「Links」という名前は後でついたんですが、それでコンピューターグラフィックスのコンピューターをつくりまして、映像をつくり始めました。

そういうことをやってますと、新聞とか雑誌にもテレビにも紹介されますんで、見学の申し込みがたくさんございました。見学というと、断るか、セレクションするか、全部オーケーするか、3つに1つなんで、面倒くさいからすべてオーケーということにして、秘書を置きまして、電話がかかってきたら早い者順にオーケーするということにしましたら、テレビを見た小学生から電話が入ったらしくて、午後からお客様とか言われて、だれ?って言ったら、小学生の方がいらっしゃいますと。だれでもオーケーということにしてますので、小学生、確か5〜6人だったと思いますが、研究室にまいりまして、私が案内して、機械を見せて説明するわけですね。

 

 

 

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