例えば、日本でもどういうものをマンガというかということによりますが、谷口ジローという人が書いたマンガで「歩く人」というのがあります。例えば、8ページのマンガで、コマ割りで、ただそれは主人公が歩くだけなんです。ある風景のなかを朝起きて散歩するというだけで、すばらしいマンガです。フランスのマンガ家で日本でファンが非常に多いメビウスという漫画家がいますが、その人などは、それを見て非常に感動して、「いや、谷口ジローの『歩く人』あれはすばらしい」と、私に言った。そういう感性というのはありますよ。
ですから、これをなぜかということを説明すると長くなるのでやめますけれども、結論的には、マンガやアニメを通しての想像力というのは育っていると思います。いろんなその例を挙げたりしたいんですが、きりがないですね。
それで、例えば僕が翻訳したマンガでアート・スピーゲルマンの「マウス」というのは、アウシュビッツを生き抜いた父親の話で、ピューリッツア賞もとったのでこれはかなり売れている。そのあとに翻訳したアメリカのマンガで「ボーン」というのがあります。これは日本的な要素を入れているというのか、先ほどおっしゃったようなのと違って、説明過剰というのがないんです。台詞のないコマも非常に多くて、想像でストーリー展開を読み取らせることが非常にうまくできているので感心したんです。1ページまったく台詞がなくてコマだけで進む。それが、非常にサスペンスを生んでいるとか、そういう効果を入れて、日本のマンガのいい面も取り入れて新しいものです。
最後にちょっと言いたいのですが、今のご質問にあった、日本のマンガが、アニメにしても、海外で受け入れられ方がどういう形で受け入れられているか。