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日本アニメの特徴のひとつとして、省略的に描いている動きにカメラを使っていろんな付加表現をする。透過光といいまして、キラリとモノを光らせたり、カメラを動かしたりいろいろ、アニメのカメラ技術というのは、これはもう間違いなく日本が最高のレベルであるといってもいいでしょう。動かない分カメラで動くように見せようと。その極致が「ポケモン」のパカパカ事件だったのではなかと思っております。そういうことがあり、現場のスタッフの中に行き過ぎた表現に対する慎重な姿勢が見えるようになっております。それ以降、私のみるところ、どうも元気がなくなってきているような気がします。

それともう一つ、一番大きいのは、少子化のダメージといいますか、視聴率は下がる、スポンサーも元気がないというわけで、それが結構足にきていまして、ゴールデンアワーのアニメ作品が減ってきております。今制作現場の課題は、デジタル化とネットワーク化です。それから、テレビにかわる次なるメディアはiモードなのか何なのかはわかりませんけれども、そこの積出港をどうみつけ確保していくかという問題があると思います。

日本人の手先の器用さとか、大量生産とか、それから母なるマンガもちょっと年取って元気がなくなってきております。父であるテレビメディアもデジタル化に向けて大変革の最中であります。アニメが一人歩きできるのかどうなのか最大の難所に差し掛かっていると思います。

海外、とくに最近は韓国が、日本のアニメーションは老齢化しているから、もうそろそろ駄目だよとポストジャパニメーションを目指して頑張っています。韓国は産学官一体でアニメの産業化を目指し、アジア戦略、世界戦略を描いています。シンガポールもそうだというふうに聞きます。カナダもそうだというふうに聞きますし、ハリウッドでも我々が思っている以上に日本のアニメを評価し、ジャパニメーションの取り込みを狙っています。

いろいろまだありますが、一応、問題提起としてはそういうふうに申し上げておきます。

 

 

 

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