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結論から言うと、やはり、独自、非常に特異な発展を遂げてきたし、特異な分野を今形成してきているということは、言えると思います。

おそらく、アメリカでいえばすでにディズニーという存在がもう70年でしょうか、あって、アニメーションそのものの定義というのがイコールディズニーの制作するものと、それから、ターゲットそのものも6歳から10歳で、ようするに10歳以下。これは、言葉よりは動きで見せるとか、言語的に多民族国家だということもあるかもしれませんけれども、言葉がよくわからなくても動きで理解できるというようなもので、アニメそのものは子供のものという定義ができてしまっているということが、逆に、10歳を超えたおそらく二十歳に至る人たちに対するそういう娯楽というのがあまりなかったのかもしれない。そういう意味で、非常に空白であったということも事実だと思います。

ということで、日本はディズニーと戦うということもできませんし、もう一つは、先ほどからもお話があるコミックという非常に文化的な背景、コミック文化という背景があって、そこからアニメ化するという、それからストーリーマンガを読み出していくということがベースにはあるわけで、その辺が、おそらく、年齢的には10歳を超えたところのターゲットとする作品をつくり続けるというのが、一つの空白を埋める独自な道をみつけられた理由であろうという気がします。

もう一つは、日本的なアニメーションというものの特徴というのが、ご承知のように、アメリカのように、フルアニメーションといわれていますが、1話あたり3千万、4千万。1話というのは30分番組です。というようなお金をかけてつくるものと、基本的には、日本の場合に、これは生い立ちがいろいろあって、手塚さんが最初に局から安く受けたという話になっていますけれども、非常に安いコストでアニメーションをつくらざるを得なかったという出発点から、これは日本人の特別な才能でいかに安いコストのなかでどうやって表現を豊かにするかという工夫というのは、かなりされてきたと思います。これは、予算的な問題と、それから常に短時間で安いお金でつくらなければいけないという制約のなかでこういう形が出てきたというのは、率直に感じるところです。

 

 

 

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