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絵の描き方がダイナミックになっています。それは非常に長いスパンでいうと、日本のマンガの影響でもあるんです。ただ、内容は違います。お話ももちろん違うけれども、描き方も、1ページのなかでいくつもコマがあったのがもっと大きいコマに少なくとか、見開きで一場面のページをつくるとか、そういうふうな日本の影響があります。

昔は、よくいろんなアメリカ人の漫画家とかアニメーターに非難された。日本のキャラクターはみんな目が大きいじゃないかと、あれは手塚治虫が始めたんだと僕は半分冗談で言うんですけれども、目が大きくて、あんな日本人はいないじゃないか、おかしいって言われたもんですよ。今でもそういうことを言う人がもちろんいます。つい最近も会いましたけれども。でも、同時に、あれが日本のマンガの一つの表現要素だと知って理解して面白いと感じた若い漫画家、絵描きもいるわけです。そうすると、「Xメン」といったマンガのなかにちょっと日本人風の目を大きくした、日本人ではありませんが、そういう絵を描く人も出てきているんです。それが今の現状です。そういうことで日本のマンガが浸透している。

もっと大きな日本とアメリカの違いは、「バットマン」とか「Xメン」とかは、すべて著作権を出版社がもっていることです。キャラクターの権利を。だから、いろんな漫画家がキャラクターを描きますが、その漫画家が権利をもっているわけではない。だから大事なんです。キャラクターが変わらず長く続くというのは、「Xメン」とか「スパイダーマン」というキャラクターをもっている出版社にとってそれが財産ですから、それを長く生き残らせるわけです。ただし画家はしょっちゅう変わるわけです。今度は何とかという絵描きがスパイダーマンを描いたけれども、他の画家のほうがいいかもしれないと変えたりする。そうすると毎度絵が変わります。そのことに別に読者は文句は言わない。むしろ、今度はあいつに書かせてくれとか、そういうファンレターが来るような、そういうふうなやり方がアメリカにある。そこが日本と違います。

 

 

 

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