それでいいわけです。ところが、日本は今はそうはいかないです。正確に描かなければいけない。つまり、マンガを通してみても日本はメカの国といえるかもしれません。これもやっぱり日本のマンガのいい点というか何というか、そうなってきて、競走のなかでそういうものが要求されるようになったんだと思います。それから、今の300ページの週刊マンガ誌にしても一冊の中にいくつもマンガが入っています。そのなかでどれが人気があるとか、「名探偵コナン」であるとか「金田一少年の事件簿」とかいろいろ入っている。アメリカにはそういうタイプのマンガ雑誌というのはないわけです。
これまたややっこしい問題になるんですが、ヨーロッパの例をいっても難しいのでアメリカだけに限ります。アメリカではマンガというのは3種類ある。一つは新聞連載マンガというものです。皆さん御存知のスヌーピーが出てくる「ピーナツ」、「猫のガーフィールド」とか、新聞マンガは百年以上の歴史があります。1世紀以上。百年以上の歴史ということは、アメリカのみならず、世界の物語マンガの歴史そのものです。アメリカが一番早いということになっているんです。この定義もなかなか難しいんですが、一応、コマが連続していって台詞が吹き出しに入っているというのが、物語マンガの国際的な定義です。コマが連続していても下に説明文があるのは、一種の絵物語になってしまいますので、なかに台詞が吹き出しに入っている必要がある。世界に登場したのは1895年ごろです。だから百年以上たっているんです。それが新聞の連載マンガです。
ところが、雑誌形式の物語マンガというのが、1930年代になってアメリカで出てきたわけです。それは新聞の連載を再録してカラーで雑誌にしたわけです。ところが、その再録だけでは面白くないとオリジナルのものを入れるようになったのは、1938年で、「スーパーマン」です。その次「バットマン」といきますが、これは新聞連載ではなくて雑誌のために描いた。それが爆発的に大ヒットしたので、それでアメリカにコミックブックという産業が興きたわけです。今もずっと続いて、映画化されて今宣伝していますが、「Xメン」なんていうのはそこからきているわけです。