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今の時代ではそんなことは信じられないんですが、そういうことがあったのを覚えています。そんなふうに私はマンガを読んで育ったんです。

つまり、日本の特異性というのは、これはマンガのわかっている人にはだいたいわかっているんですが、要するに、マンガ週刊誌が出たことによって加速された。あれははじめはマンガだけの雑誌ではなかった。だから「少年サンデー」とか「少年マガジン」というわけで、どこにもマンガと書いてないんです。でも、実際には本を売っていくときに表紙のマンガのほうが読者に受け入れられやすいので、完全にコミック雑誌になってしまったわけです。もともとはコミックだけの雑誌ではないと思うんです。「少年クラブ」とかそういうものの週刊誌化みたいな感じで、しかしビジュアルがもっとも多かったわけですが、読み物のページもちょっとあったんです。だんだんそういうものがなくなって完全にマンガになっていく。マンガの週刊誌タイプになるわけです。つまり、テレビと見合っているわけです。テレビ番組が週間で放映されるということに見合って週間でマンガ雑誌が出たんです。

そうすると、マンガの描き方が変わってくるわけです。毎週マンガに出てくるわけですから。それまで月刊誌の時代だと、次の号が出るまで時間がありますよね。だから、マンガのお話もだいたい月間のなかで話が閉じる場合が多いんです。連載マンガでも話がかなり進んでいく。月間の場合は一月1回ですから、一月のその号のなかで結構話が進まなければいけない。つまり、週刊誌になってしまうと、もう1週間待つとすぐ次がきますから、1回のなかでの話がそんなに長く進まなくてもいいようになってくるんです。しかも、毎週サイクルなので早く読む、読めるようになってくるんですよ。細かい説明をすると非常に長くなるんですが、ようするに、週刊マンガ誌という出版形態と漫画家の技術といろんなことが相まって、特に編集者の力が強くなっていき、マンガ家たちを新しい刊行サイクルに馴染ませながら、お互いに進化しながら、日本特有のマンガの形態ができて定着していく。

ということは、一つは、早く読めるマンガになっていたということです。

 

 

 

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