牧野 私の頭のなかでマンガとアニメの境界はないんですが、「マンガ」で結構です。日本のマンガが「MANGA」で通用しているということに照らして。
小野 それによっていろいろ変わるんですよね、アニメとマンガということで海外の受け入れ方がまったく違うんです。マンガということによっても違うんですね。おそらく、ここで牧野さんがおっしゃっているのは、皆さんが期待しているマンガというのは、おそらく物語マンガだと思います。英語ではコミックスといって、フランス語ではバンド・デシネ(Band Dessine。略してBD (ベーデー))と言いますが、コマがたくさんあって物語が続いているナラティブなフォーム(説話の形式)としてのマンガだと思いますが、そういうふうにしないと、1コママンガの世界とか、政治マンガになっていると、これまた話が別になるんです。それはそれでいろんな国によって事情が違うんで、簡単には言えません。
牧野 コミック中心で結構です。
小野 わかりやすく言うとそれはそうだろうと思ってきたんですが、今はもっぱら、例えば中央公論(2000年9月号)などが特集やっているのを見ましたら、マスコミに取り上げられるマンガという場合は、完全に物語マンガなんです。逆にいうと、それ以外のマンガは視野に入ってないということが実は問題ではあるんですが、それはここではおいておきます。
物語マンガに関して日本は特異な地位を占めているというのは、もうこれは、特異な地位という意味は、メジャーとかそういう意味ではなくて「特異」です。マンガの性格が特異なんです。その特異なマンガを外国が注目したり受け入れたりするようなことが、正確にいうといつごろからかというと、実は最近になってマスコミが取り上げるので、またかと思うんですが、すぐ日本から文化として発信できるのはマンガとアニメだななんて言いだすと、もうそれをそういう切り口といいますか、そういう話題がしょっちゅう出てくるわけです。