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その後、破壊的というか、古い秩序を乱すようなことを考えるようになりますと、その考えを発表するのは新しいメディアがよい。そのほうが摩擦が起こらずに済むことに気がつきました。どういうことかというと、ふざけた文章を書いて、例えばマンガを描いて、あるいはラジオでしゃべって、テレビでしゃべって、立派なところには書かない。世の中に浸透する力はそっちの方が強い。新しい考えは新しいメディアを使う。だから、マンガをもっと尊敬して読まなければいけない。マンガの中に未来へのヒントが自由に出ているんだと、今でも思っております。それがどういうわけか、現在では大学で博士論文とか修士論文の審査をする羽目になってしまいました。心の中では「馬鹿だな、こんなものマンガにすりゃ3枚ですむ」なんてつぶやいています。

つまり、アカデミックの世界というのは実りが少ない。格好ばっかりつけている。普通の人はそう思っていても言えないというような雰囲気があるものですから、そのアカデミックの世界の空虚さを埋められるだけ才能に光をあてる、ちょっと僭越な言い方ですが、そんな思いでございまして、ひとつ、お互いに頑張りたいなと思っております。

 

司会 牧野先生、よろしくお願いいたします。

 

牧野 それでは、まず座長という立場でお話をさせていただきたいと思います。

ついこの前ですが、高知のマンガ甲子園に参加し選考にあたっておりますと、高知大学で教務課程を専攻している学生さんから、2001年の4月から中学校の2、3年の美術指導要領のなかにマンガという文言が入ってきます。CG・アニメーションなどと一緒に中学校の美術現場でマンガを教えるんですと教えられました。今までマンガは勉強の敵だと言われてきたんですけれども、牧野さん、私たちはどう教えたらいいんですかというような、そういう質問を突きつけられました。私は不勉強で、そのとき初めてその学生さんから文部省指導要領なるものを受け取ったわけです。

 

 

 

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