その比率はともかくとして、そのどちらかが消えてしまうということはきっとないのではないでしょうか。その時、アナログ的技術の大切さを忘れない限り、コンピュータは常にプラスに働くと、私は思っています。
その他にいかがしょう。
鳥井 日本財団の鳥井といいます。大変素人の質問で申しわけないんですが、ビジュアルのリテラシーというのはよくわかるんですけれども、オーディオの部分、音との融合についての可能性、あるいはそれぞれ独立し続けていくのか、その辺を教えてください。
土佐 音は映像よりもっと早いと思います。もうCDに見られるように、メディアの変遷は映像と音というものを両方情報としてとらえるならば、圧倒的に音のほうが情報量が少ないんですね。大概情報技術の中で情報量の多いもののほうが大変なんですね。ネットワークの中でも電送速度が遅いですし、画質の問題とかもあります。ですから音はもっと早くて、レコードからCDに進むのはすごく早かったし、今はもうネットワーク上の圧縮技術がいろいろ進んでいますので、非常に早いと思います。実際、音と言っても意味することがいろいろある思うのでどういうところに視点を絞ればいいのかわかりませんが、既にネットワーク上で音楽の売買ができますよね。そういったことに見られたり、あとは映像に付随した形で音声合成なんかもネットワーク上で既にできていまして、天気予報とかそういったものをネットワーク上で声で教えてくれる。しかもその声が、有名な俳優、女優の声の音声合成で教えてくれる。こういうことは、もう既に実現しています。人間はコンピュータの声よりも人の声のほうを好みますから。
ただ日本語というのは英語の音声合成よりも非常に難しくて、濁点とか小さな「ッ」とかうまく発音ができないんですね。私の作品に見られるように、子供の声だったら何となくゆっくりもたもたとしゃべっていてもそんなものかなと思われるんですけれども、大人の声できれいでクリアにしゃべるというのは、技術的にはまだまだ非常に難しいです。