牧野 そのほかにいかがでしょうか。
岡田 神戸大学大学院の岡田と申します。きょうはおもしろいお話を聞かせていただきありがとうございました。
私はマンガビジネスというテーマで研究をしているんですけれども、ちょっと専門外なので教えていただきたいというか、御意見を伺いたいんですが、マンガとかアニメというものと、それから、きょうもかなり話題になっていましたけれども、情報技術、特にコンピュータという技術が、これまでの日本の漫画とかアニメーションと逆の動きというか、アナログ的、1人のマンガ家が1人でストーリーを考えて手でマンガをかいていた時代から、情報技術が入ってくることによって、今後、日本のマンガとアニメーションというものに情報技術が与える影響というのは、プラスの側面だけでなくてマイナスの側面もあると思います。その両方について、先生方がどのようにお考えになっていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
牧野 それでは、この中でマンガ界の状況を一番知っている者としてお答えいたします。『ゴルゴ13』のようにほとんど映画のごとく、物語作家がいてロケハンをして映画のようにつくられていく世界と、そうなればなるほど、あくまでも全部1人でやるんだという方と両方いるわけなんですね。双方コンピュータのお世話になりながらも、全面的に活用せざるを得ない「巨大型」とフォローの機器として使う「個人型」の両極に分かれていくでしょう。
アニメーションでもそうですね。巨大なプロダクション・システムで長編マンガをつくっていく世界。一報、非常に緻密な画面であるにもかかわらず、1人の作家がすべてをやってしまうという世界。それからたいへん短くて、瞬間芸のようなアニメーションを1人でつくるという場合ですね。この場合は、その作家の個性がそのまま出てきてしまう。コンピュータを使う、使わないにかかわらず…ですね。