日下 本当に同感でございます。
それに関連したことを言えば、漢字はもともと絵ですよね。羊とか馬とか鳥は絵がそのまま漢字になっているわけで。ですから子供はすぐに漢字を覚えますよね。あれはマンガと同じだと思います。それに応じた頭の発達があるんでしょう。だから子供は漢字を教えたほうが頭がよくなるんじゃないかと思います。アルファベットよりよっぽど進歩が早いんじゃないかなと私はずっとそう思っております。
その頭の中の話をしますと、リテラシーの一番最初は、お母さんが子供に絵本を読んでやるところから始まると思うんです。1歳くらいのころね。絵を見せながら物語をすると。そのときは、母親の愛情という船に乗せて子供の頭の中に情報が入っていく。子供は、愛情と一緒ですから喜んで受け取って、その時間が楽しくて、もっと読んで欲しいとか、あしたの晩もして欲しいとせがむようになる。そこで情報というのはおもしろいものだと考えるようになり、それを処理する回路が頭の中に自然にできてしまう。癖がつくと、お母さんは大体くたびれてもういいと言いますから、字さえ覚えれば自分で読めるんだというところから、字を覚える意欲が湧いてきてだんだん知的になっていくんだと思うんです。
最近のお母さんは、邪魔くさがってテレビをつけっ放しで対応するわけですね。テレビのつけっ放しでは、話は聞こえるけど愛情を伴っていませんから、子供は全く受け身に聞き流しているだけで、積極的に情報を取り入れて処理する回路が頭の中に作れないという意味で、僕は知能の発達が遅れていると思います。つまりリテラシーがついていないということです。
それが更に5歳、6歳になりますと、字をもっと覚えなさい、幾つ覚えましたかと大人が言う。6歳なら漢字を100ぐらい覚えてないといけません。120覚えているから知能指数は120ですとか、そんな管理をされているのです。学校に行くとテストばかりで、今度は罰が来るわけでありまして、罰に怯えながら勉強するのでは身につかないはずなんですよね。ですから、子供がマンガのほうへ行くのは当然で。結局、そういう子供は罰に怯えた分だけしか頭の中に回路ができていない。試験で覚えたことは、試験が済むと積極的に排除して忘れてしまうという働きがきっとあるでしょう。