土佐さんのご説明を聞く前に、日下さんがたくさんの御著書の中でやはり無意識というものをくり返し取りあげていらっしゃいます。そういうご研究もされているかと思うのですが。無意識の世界と経済学との繋がりはどの辺にあるのかお聞かせ願いたいと思います。
日下 それはありましてね、無意識に商売して成功している人は意識しないんですね。儲からない人がいろいろ考え出したときに理屈を立てるから、概して商売に失敗するんです。まあ、ときどき当たることもありますけどね。
ですから、無意識の発達した子供に育てなければいけないと常々思っております。経済学へ行った人は商売が下手だし、ノーベル賞をもらった人はますます下手なんです。
先ほどの巨大な目玉というのは、人間の目は写真機じゃなくて、その後ろに処理する回路が頭の中にあって、必要な情報は大きく取り出して見ているんですよね。写真機を初めていじくったときに気がつくことですが、でき上がりを見てみると被写体の人間が小さく写っていて風景がやたら大きいことに気がつきます。あるいは相手の顔を写すと目鼻だちがえらく小さく写っていることもあります。実際の印象では、風景はぼけており逆に人物は大きく見える。相手の考えを掴もうとするがゆえに人の顔の中では目玉だけが大きく見えるわけです。デフォルメとかいって昔から絵描きがやっていたことをマンガはもっと極端にやっているわけです。人間の印象のとおりかけば大きな目玉になって、別に見なれてしまえば構わないと思います。
コンピュータ・グラフイックスの先に分析があって、例えば手の距離でお互いの心の距離があらわれていると思いついてそれをやってみた、その思いつくことを分析であるとおっしゃった。先に分析があるとおっしゃったけど、分析よりも前にひらめきがあるんですよね。