これを何とか無くそう、減らそうということも非常に大事なことになってくるのではないかと思います。そのためには、今まで当たり前のように存在したコンピュータとのインターフェースであるキーボードだとかマウス、ディスプレイなどが、感性に対応できる形に変化しなけれぱならないと思います。その点に関して言えば、今回の作品をもしゲームにしようとする場合、パットというデバイスでは無理なのです。ですからパットに代わるものをインターフェースにしなければならないし、もっと人の秘められた情報、感情や生理的情報、反感だとかいったものを汲み取ることによってもっともっとゲームの幅が広がっていくと思います。
私が常々大事だと感じていることは、今の時代というものが一つのジャンルにおさまらなくなってきている時代じゃないかと思うんですね。アーティストという立場でモチベーションを持っていますけれども、物を創造する力というのは別にアートじゃなくてもいいんですね。それが、今、この時代において新しい価値を持っていて、それに新しい美的価値をつけ加えることができたならば、それは一つの大きな創造物なんですね。私の場合、モチベーションがアートなのでアーティストと言っているわけで、それが科学者のモチベーションであれば科学であり、それがまた別のジャンルの人のモチベーションであれば別のものになっていくのではないかと思います。
とても大事なことは、他のジャンルを結びつける力ではないかと思います。他のジャンルを結びつける価値観。もちろんマンガとかアニメーションもそういったものを十分に持ち得るものだと思います。だからマンガというジャンルの中にいるのではなく、マンガとかアニメーションというものが他のメディアと結びついたときに、これはものすごく大きな力になっていくのではないかと思います。
あと、このようなメディア・アートの作品に関して言えば、メディア媒体というのはどんどん変わっていくんですね。ですから、これは物質的にどこまで残るのかというのは私たち作家としても気になるところなんですけれども、物質的にひょっとしたら残らないんじゃないかなという気がします。