牧野 ありがとうございます。土佐さん、さっきもお話が出ましたけれども、これはソニーさんとの共同開発ですね。とすると、ゲームということがある程度想定されていると思うんですが、私はアニメーション学会の時にこれは「医療機器」ではないかと実は申しあげたんです。先ほど「水が無くてもできるのですか」という質問がありましたけれども、これは水が非常に大切な要素としてあるわけですね。仮にこれをゲームというふうに考えた場合には、この水というのは非常に特異な存在です。つまり、今までは液晶画面があって、こちらにボタンがあってカチャカチャと動かしてゲームをした。ところが、ここでは水とか木が介在している。なぜ木や水が必要だったかお話していただけないでしょうか。
土佐 ゲームを作ろうと意識したわけではないんではありません。今までバーチャル・リアリティーという言葉がありましたけれども、それは我々がコンピュータの中の仮想世界に入っていったんですね。ところが現在では、この実世界中に仮想世界のものがやってくる時代になっているのです。こうした時代の中でいろいろなものが生み出されていると思いますし、私が作った作品もその一つだと思います。実世界の中に仮想世界のものが一緒に共存するという状態の方が、我々はコミュニケーションがとりやすいと考えます。逆に我々がいろいろなものを付けて仮想世界に行っても不自然なコミュニケーションになってしまうわけです。それこそ人間が機械にはめ込まれた感じになってしまいます。
もう一つの象徴としては、皆さんどこかで聞いたことがあるかもしれませんが、ウエアラブル・コンピュータというものがあります。それも実世界に仮想世界が共存する一つの象徴であると思います。
それから、皆さんもこれはよくご存じだと思いますがAIBOに代表されるものにロボットの電子ペットがありますね。ああいったものも仮想世界のものがこちらの世界に来ているわけなんです。そうすることによって人とコンピュータとのインターフェースがより自然な形になってくる。よりコミュニケートしやすくなる状況が来ていると思います。
あと、もう一つ考えられるのが、皆さんも感じたことがあると思いますけれども、長くコンピュータに向かって仕事をしていると非常に疲れるんですね。