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日本では、マンガとかアニメ的な意志伝達が自然に行われました。子供の頃の考え方を肯定しているわけです。ところが外国では子供は不完全なものと位置づける。大人が躾てあげなければいけないものという前提がありまして、子供っぽいことは捨てる文化といえます。もちろんそのような考え方に良い面もあるのですが、そうした環境の中だけで育った子供が大人になると現代のように世の中が歪んでくるのではないかと思います。

実例で言いますと、名古屋に太陽っ子学園という幼稚園をつくった人がいますが、ここでは子供に知識は教えない、字は教えない、算数は教えない。何でもしゃべらせて全部賛成するのです。子供が何か言ったら「本当だね、そうだね」と先生は肯定的な言葉しか言いません。先生にとって非常に楽なようみ見えるかもしれませんが、子供がのびのびと育つ教育を実践しているのです。

私も子供を育てるときに、私の子供が「また夜になっちゃった」と言うんですね。「もっと遊びたいのに暗くなっちゃった。何で暗くなるの?」と聞かれた時、普通の大人は「地球が自転して太陽が回っているからだ」とすぐ教えますよね。私はそんなばかなこと教えない。「本当に暗くなったね。困ったね。」って言ってあげればいいんだと思うんです。実際そういう心の距離感で子供を教育いたしました。自分が子供の頃を思い返しても、子供の心を肯定されることは嬉しい経験でした。マンガを読んで楽しかった理由はここにあると思います。マンガを読むと何でうれしかったかというと、学校では否定される子供の心をマンガの世界は肯定してくれるからです。学校では自転とか公転とか理屈を憶えろ、理屈っぽくなれと教えます。だけどマンガの世界では「暗くなっちゃったね」という世界が繰り広げられるものですから、嬉しくてマンガの世界に没入するのです。これは非常に大事なことで、日本民族が健全であることを表しているのではないでしょうか。理屈ばっかりで、結局、アメリカがどうなったかというと、弁護士と裁判所ばっかりで社会がダメになったと私は思っています。きっとこれからは、全世界が日本に学び始めるのではないでしょうか。

 

 

 

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