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それは何故か。そのぐらいやらないと、普通の日本人はそれらの重要性がわからないだろうと思うためであります。きょうお集まりの方は先見性をお持ちですので、よろしいのですが、我々で大いに盛り上がって、日本及び世界を教育してあげるべきではないかと、私はそのくらいの決意というか思いを持っております。そのぐらいの意気込みであるということをまずわかっていただきたい。そう思います。

お手元に私が先日書いた雑誌記事がございます。この中には、ITを引っ張っていくものであるとか、あるいは日本の国益になるとか、日本の主力産業にまでなっていくとか、マンガやアニメの可能性について触れていますが、実はこんなことは普通の人にわかりやすく、経済新聞か経済雑誌で言いそうなことを言っているだけであります。本当のところを言うと、私はマンガ、アニメは人間の理性をも揺さぶっていく大変なものだと考えています。あるいは国家を揺さぶるぐらいのものなんだと。と申しますのは、そもそもマンガを馬鹿にする人が多いわけです。漠然と馬鹿にしている人は構わないのですが、心の底から自信を持って馬鹿にしている人に対しては、こちらも自信を持って戦って、それを壊してあげなければいけません。その人のためだと思うからこその親切です。そういう人に限って論理に優れ、文章に優れ、まして理性一点張り、偏差値一点張りでこれまで自分の地位を勝ち取ってきたと考えています。その結果、相当自分は高いところへ到達したと思っている。昔、マンガを読んだ自分を超えて自分は高くなったと思っているわけです。確かに高くはなっているんですが、論理、文章の世界へ偏ってずれていることを見逃してはいけません。その結果そうした人達は、感性、感覚、個性、直感力、暗黙知の世界、これらはいずれもマンガには不可欠な分野でありますけれども、そこから逆の方向へ遠ざかっているわけです。本来競うべきは「高さ」なのに、一方向にずれた人が逆へずれた人を見て軽蔑しているのです。自分を原点として、逆方向に離れている分だけ軽蔑するということは大変不幸な話であります。

このことをはっきり示している例が彼らのリテラシーの質だと思います。

 

 

 

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