●フォーラム・プログラム
ヤングリーダー奨学基金対象校の大学院生が中心となり、現代社会で問題となっているテーマを取り上げて国際フォーラムを開催し、そこから独自の行動計画や政策提言を引き出すことを目指すもので、本年度は次の2事業を実施しました。
「アフリカにおける電力供給サービス」国際会議 5,617,762円
ヤングリーダー奨学基金設置校である米国プリンストン大学の主催で、アフリカにおける太陽発電による電力供給政策について議論する国際会議を、1999年6月1日より6日まで南アフリカ共和国ケープタウン市において開催しました。会議には主催者であるプリンストン大学に加え、ヤングリーダー奨学基金設置校よりカリフォルニア大学バークレー校、ナイロビ大学からも学生が参加し、学生26名および教員、専門家23名が参加しました。その結果、ユーザー教育の徹底、地域住民、地方政府、民間企業によるシステム設置と維持のためのネットワーク形成とその効果的、効率的運営が必要であることなどが確認され、最終的に「政策提言レポート」としてまとめられ、太陽発電システムを広めるための啓蒙活動に使用されることとなりました。アフリカ、米国、英国から奨学生を含む学生および教員や専門家が一堂に集い、地形上の制約と財政難のため電気の普及が遅れているアフリカ大陸の現状に対し、社会、技術の両面を考慮した学際的なアプローチで、実質的な解決策を提言し、地域の発展に寄与する可能性を示しました。
「21世紀の環太平洋共同体」国際会議 4,730,956円
同国際会議は、ニュージーランドのビクトリア大学ウェリントン校(ヤングリーダー奨学基金対象校)がアジア太平洋経済協力会議(APEC)第11回年次総会(1999年9月12日〜13日)の直前に、APECの主要議題について議論する国際会議を1999年8月26日から31日にかけてニュージーランドの3都市、ウェリントン、パーマストンノース、オークランド市において開催しました。会議には米国、日本、中国、タイ、韓国、台湾、ニュージーランドなどから27名の学生が参加し、(1)科学技術政策、(2)教育の国際化、(3)資本市場の育成、(4)先住民族の権利、(5)持続可能な経済成長の5テーマについて議論されました。会議の成果は提言としてまとめられ、ビクトリア大学のメディアセンターを通しメディアに公表されました。また、学生の発表論文を含む報告書が出版されました。さらに参加した学生がリストサーブを作成し会議終了後も電子メールで情報交換を行い、学生のネットワーク強化に役立ちました。今後アジア太平洋地域における諸問題を学生間で討議する機会が継続されることが期待されます。
●教職員交流研修事業
ヤングリーダー奨学基金設置校の教職員を対象に、大学間の学生の交換・交流を促進するための奨励金を提供します。関連大学の教職員が、国外の相手校を訪問または相手校の教職員を招聘し、教員の場合は、短期の講義を行ったり、カリキュラム開発に関して協議します。職員の場合は、交流協定の交渉や準備等を行います。
本年度申請を受け付けたのは13件、奨励金を支給したのは7件でした。ヤングリーダー奨学基金対象校から南京大学、ベングリオン大学、ポートランド州立大学、南太平洋大学、ウィーン音楽大学の5教授が各々国外の提携校等を訪問したほか、ニューヨーク州立大学バッファロー校の職員1名が、ヤングリーダー奨学基金設置校であるモンゴルの経営アカデミーを訪問しアカデミーの運営を効率化するための技術指導と、米国における会計制度に関する講義を行いました。また、神戸商船大学から1名の教授が世界海事大学において客員教授として講義を行い、世界海事大学からは、英語教育を担当する教員1名がニューヨーク州立大学バッファロー校を訪問し、英語の集中講座、カリキュラムの充実をはかりました。