1999年度事業総括
当財団は、来るべき21世紀に向けて、社会・経済・政治等の様々な分野における諸問題の解決を、既存の国家概念を超えグローバルかつ地域・都市の多様性という見地に立って積極的に推進するために、民間レベルにおける豊かな国際感覚と創造性を有する人材の育成を行うとともに、アイデアの創造のための研究活動、情報提供のための活動を実施することにより、人類の福祉と健全な国際社会の発展に寄与し、もって日本の国益と世界平和に貢献することを目的としています。本年度もこの目的達成のため研究事業部事業、奨学事業部事業、情報交流部事業および事業開発費で様々な事業を展開しました。
研究事業部では、現代社会が直面する政策課題を拾い出し、調査研究を行い、問題解決のための方策を提示するというシンクタンクが行う積極的な政策研究を実施するとともに、それと連動する形で、専門家の招聘や派遣、国際的な共同研究による政策研究を行い、国際的な「知」のネットワークを形成し、知的国際貢献を実施しました。また、その活動を通じて、政策研究を行える人材の育成も行いました。
また、研究のテーマに関する情報の収集およびその選定、研究事業の企画立案、それらの事業を実施する研究者や研究交流活動を行う専門家の発掘・選定、研究活動の成果の向上のための評価にかかわる活動、さらに政策研究者の育成や他の研究機関等とのネットワークの構築を行いました。
奨学事業部では、人文社会科学および運輸・海事分野におけるリーダーの育成を目的とする各種奨学金・奨励金プログラムを実施しました。奨学金は、世界の人文社会科学分野の大学院生、発展途上国の運輸・海事関係者および日本の地方行政官を対象に支給し、奨励金は、奨学金の受給者を対象に研究・研修・交流活動を支援するために支給しました。
また、人材育成を推進する基盤を強化するため、世界の40カ国、61大学のヤングリーダー奨学基金設置校や世界海事大学など、当財団のネットワークに属する大学の教職員による交流・研修を世界的規模で支援すると同時に、日本の大学教職員の海外研修や教員の海外での講義を支援しました。これらの事業は、いずれも日本を含む各国における高等教育の国際化に貢献するものです。