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観光地アクセス航路の場合は、時間帯によって往路もしくは復路に利用が集中するため、平均乗船率50%で実質は満員となる。このため、効率的な運航という観点では、アクセス船は不利となる。

・特に、神戸港〜USJ航路を想定した場合は、陸路によるアクセスの料金よりもかなり高い価格設定が必要になると想定されるため、採算的には厳しい。

 

d) パターン4](観光地アクセス船:航行時間70分・大型船)

・客単価(乗船料)を1,400円とした場合に完済年度を10年とするためには、年間の利用者数が約60.4万人(平均乗船率56%)必要となる。

・客単価を1,000円とした場合には、年間の利用者数が約84.2万人(平均乗船率 78%)必要となり、パターン3]以上に厳しい状況となる。

 

2] 総合評価

●全般的に厳しい事業採算性

・海上観光事業の事業採算上の厳しさがフィージビリティ・スタディからも伺える結果となった。フィージビリティ・スタディの上では、パターン1]のレストラン船が比較的良好な結果となっているが、海上観光事業の特性(需要が特定日に集中し、冬季や平日の稼働率が極端に低くなる)を踏まえると、平均乗船率も高くは見込めないため楽観視できない。

・また、パターン2]〜4]の乗船料のみで収益を上げる事業形態は、さらに高い平均乗船率が必要となり、事業採算的に厳しくなる。

 

●固定費となるコストが収益に大きく影響

・収支構造的には、港費、船費、常勤人件費などの固定コストが費用上大きな位置を占めることになり、これが収益に大きく影響している。事業者ヒアリングでも明らかになったように、この固定費をいかに削減していくかが事業採算上の大きな鍵となる。

 

 

 

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