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インドネシアも同様で、結局は、インドネシアは国家として、国民国家との間の中間としての伝統に対してやっていく。シンガポールも、中国人も、グローバリゼーションという曖昧なものに対して戦おうとしています。殊に、大国からの観点は、シンガポール、マレーシアみたいな小国だと大変な問題になります。また、アメリカで大きな暴動が起きていたのも、グローバリゼーションに対しての反発です。大国の皆様にぜひとも教えていただきたいのは、こういったグローバリゼーションの問題についての対応です。

 

○ヤルマン 非常にいいご質問が出ています。こちらの方も非常にやる気を起こさせるような鋭いものが多く出てきます。まず、先ほど出てきた質問と、そしてまたシンガポール国立大学から東京大学にいらしている方から出されたおもしろい質問について、ともに答えてまいりたいと思います。

価値の問題についてですけれども、先ほどご質問に立った方と私も同感です。まさにご指摘のように、結局、経済的なグローバリゼーションが少なくても一色に塗りかえているような、すべてを打ち消していくような側面については、まさにおっしゃるとおりだと思います。私の友人で『マーケット・アズ・ゴッド』(神としての市場)という本を出した人がいまして、アメリカ人はマーケットこそが最終的な裁定者であるとして、紛争などについても言及しています。経済的な状況が価値を凌駕するような状況を許しているのです。すべてのものが金銭的な価値においてはかれるかのような発言をしている人たちが、アメリカの各層において出てきています。

ところが、アメリカでは、こういったすべてのものを金銭換算するということとは別に、すべては金に換算することができないということも、実は大事なポイントなのです。国自体に対しての大変な誇りがあり、人間の自由がよく守られている国だという誇りがあり、このような誇りが極めて深いものであり、憲法と、フランス革命の哲学者、思想家たちから得ていた価値、それをジェファーソン、ハミルトン、そしてまたベンジャミン・フランクリンの解釈を通じて、自分たちが受け継いできたということが大変な誇りになっています。それらが核になっていますが、ボーゲルが書いたように、そのときは「ジャパン・アズ・ナンバーワン」で、アメリカがナンバーワンではなかったけれども、バブル経済の崩壊のために、アメリカは自分たちこそがまたナンバーワンだと思う時代を迎えています。

ただ、確かに質問者がおっしゃったように、深刻な問題として、価値の問題が明らかになっています。そして、アメリカにおきましても、真剣に物事を考える人たちの多くは、このことについて懸念を表明し、アラン・ブルームなどが、こういった価値の問題について考えをあらわしています。忘れてはいけないのは、アメリカも実は信教の自由に基づいているという国であり、その信教の自由も、非常に強く結びついているということです。さまざまなグループがあって、普遍化、すべてを均等にしていこうというやり方に対して逆らおうとしています。

 

 

 

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