そこでお願いです。少しでも早く、何かそうしたスタンダードな示唆を与えてくださるようなご研究の結果をおつくりいただきたい。そして、日本の言語をもっても、それが学習できるという条件のもとでご用意いただければありがたい。大変抽象的なことですが、お願いでした。よろしくお願いいたします。
○モデレーター ありがとうございました。このシンポジウムの結果、あるいはそれに至る研究会の作業、そういうものをまとめまして、先ほど青木先生のお話にありましたように、報告書ができ上がればと思っておりますので、その報告書を、できるだけご意見を踏まえてお考えいただくということを私からもお願いしておきたいと思います。
○質問者C 私の質問は、12〜13年前、アラン・ブルームというアメリカの思想家が、『ザ・クロージング・オブ・アメリカン・マインド』、アメリカ精神の崩壊という、100万部ぐらい売れたベストセラーを書いたのですけれども、その論点に基づいてお話しするわけです。アメリカという国は、やはり1つのグローバルな世界をつくったといっていいと思うのです。だから今、グローバル化というものをみる場合に、アメリカのそういうグローバルな―モザイクという形でいいますけれども―実際はやはりグローバルな国をつくったとみますと、最初は、自然法に基づいた、自由であるけれども、同時に人間の本来もっているものに対する不当な差別については断固として戦う。それが南北戦争の奴隷解放であったと思うのです。だけど、それが次第次第にオープンネスという、よくいえば寛大さということにつながっていく。それで、あらゆる宗教も、これはオプションの問題でありまして、いろいろな目的に対する価値観というのは、どれをとっても、みんな同じなのだというような目的価値に対する1つの無関心というのか、そういうものがだんだん社会をコントロールする上に、その方が面倒くさくないということだと思うのです。
今、グローバリゼーションの中で、先ほどいろいろな方々がおっしゃったように、多極化と同時に、寛大さということをいわれるのですけれども、本来は、人間の価値というのは寛大さだけではだめで、やはり価値というのは、いい価値があれば、価値における階層というのはあるのです。だから、人々がより高い価値を求めるようにもたらせなければいけない。その場合、このグローバリゼーションの中で一体どうやって、先ほどおっしゃったような倫理の問題だとか、価値の階層、序列というものをどうやってつくっていくのかという問題に、結局、直面せざるを得ない。むしろ、それをつくらないと、本当にばらばらな、家族のきずなも、社会のきずなも、どんどん失っていく。アメリカにおいて、3,000万人の人間が医療保険を受けられない。それに対するオープンネス、寛大さというものは、全体の社会の崩壊につながると思うのです。その辺を一体どのように考えられているか。