多極的、多面的、多様性のあるようなものでなければならない、多くの中心をもったものでなければならない。けれども、このように多角的で、多くの部門によって構成されている世界について、慎重を来さなければならないのは、こういう世界の中では、多国籍企業、巨大企業で、どこの国のコントロールの中にもおさまらないものが出てきます。ということは、完全にコントロールの枠外であるという、非常に珍しい事態の発生が出てきます。国内的にみれば、リム先生がおっしゃっていた、もてるものともたざるものとの間に違いというのは、さらに際立ってきはしないでしょうか。このような多国籍企業が集めた、そしてまた、株主が集めている資本がモルガン・スタンレーだとか、野村だとか、ゴールドマン・サックスなどに集約していき、これがどこに行くのかというのは、結局、だれも知らないのです。そういった非常に深刻で重要な問題があります。明らかに、私たちは閉ざされた社会でやっていくことはできません。こういった開かれた社会に対して取り組んでいく必要があります。閉ざされた社会は、いずれ破壊されていくことは明らかであり、閉鎖されている絶対主義的な、独裁的な中国ですらも、そしてまた北朝鮮なども、こういったグローバリゼーションのトレンドに対して、従来のままでは生き延びていくということはできないのではないかと思います。
もう1つ、ここで申し上げられるのは、幾つかのブランドネームのもっている効果、その力です。非常に強い印象を受けるものですが、青木保先生は、サントリーや資生堂のアジアにおける影響力について指摘されました。私は、ソニーがもっている重要な役割について申し上げたいと思っています。そして、ソニーが、私たちがつくりつつある未来の中で、どういった役割を果たすかということですが、ソニーはマイクロソフト、オラクルと競争しております。ワールド・ワイド・ウェブのコントロールにおいて、ソニーは非常に強力なポジションにあります。ハードをコントロールしているし、ソフトもコントロールしています。ですから、これがどうなるのかみていくべきです。ワールド・ワイド・ウェブは、非常に重要なインストルメントでありまして、大変な速度で全世界において拡大しているところでありますので、トータル・コミュニケーション・システムというものに影響を与える。ですから、ソニーがこのゲームを効果的にやることができれば、キー・ポジションになって、文化的なシンボリックな富をコントロールするようになる。文化的なシンボリックな資本をブランドネームの形で、また、商標、マーケティングなどでコントロールすることは、非常に重要なわけです。財政的な多国籍の活動で、決定的な立場をもちます。
日本は、このような責任感をもって役割を果たすべきです。アジア人が日本の社会をみますと、本当に称賛の気持ちでいっぱいになります。これほどのことを達成した、そして、生活水準をこれほどまでに高めた、普通の人の健康水準をこれまでに高めたという点で、称賛の的です。そして、豊かな者と貧しい者の差がほかの国よりも非常に少ない。すばらしいことを達成した。こうした面で、責任感をもって、世界でやっていくべきだと思います。