こうした点に関しては、青木先生のような文化人類学者が大きな役割を果たすと考えます。つまり、グローバリゼーションのエシックスとは何かということについて、詳細に説明してほしいと思っています。これをエコノミストたちだけに任せてほしくないのです。エシックスは何か、我々は何をしたいのか、だれがグローバル化から影響を受けるのか、便益を受けるのか。追放された人、仕事をもっていない人、失業者、周辺の人にとってはどうなのか―こういう問題を扱わなければいけないと考えます。こういうことを扱うことができるなら、何か共通な基盤ができるわけです。1つの国の中でもこのような共通の基盤が必要になります。
現在のグローバリゼーションの方式というものは、欧米などの多国籍企業が発展させてきました。これが多数の人に受け入れられるためには、私が申し上げた問題に取り組まなければいけないと思います。
○モデレーター リム先生、ありがとうございました。シンガポールからみたアジアの経済危機と対応、それから、グッド・ガバナンスの問題、エシックスという新しい要素を強調されたということが非常に印象に残りますが、それらの問題もさらに後ほど議論していただければと思います。
次に、ゼウフナー教授にお話しいただきます。
○ゼウフナー ありがとうございます。
ご参集の皆様、私どもは長くて10分以内でといわれておりますので、できるだけ時間を厳守しようと思います。
まず、ドイツについての一般的なコメントとして、グローバリゼーションについてお話ししてからと思います。
グローバリゼーションは非常に大きなテーマでありますので、グローバリゼーションのいろいろな意味があるのではないかということで考えてみました。1つ考えられるのは、ポストモダンの理論からデリダ、あるいはアンソニー・ギデンス、ドイツのルーマンなどのあらわす表現であるグローバリゼーション、グローバル・ビレッジのようなものがあるということです。ずっと前にもグローバル・ビレッジという考え方がありましたけれども、1つとなる世界のコミュニティーというものができて、ユートピアの世界ができるという考え方です。また、その一方で、マイナスの意味でのユートピア構想というものがあるわけです。これはイデオロギー的な背景があるもので、どちらかといいますと、グローバル化によって、世界がいろいろな動きによってつぶれてしまうというマイナスの見方をするのです。こちらの方については余り触れたいとは思いませんが、我々の中には影響を及ぼしている考え方の1つであるということを申し上げておきます。