これまでの経緯を簡単に説明しますと、この研究はアメリカのボストン大学とハーバード大学の共同研究プロジェクトとして行なわれてきたものです。特にボストン大学のピーター・バーガー教授とハーバード大学のサミュエル・ハンチントン教授を中核として、アメリカ、ドイツ、インド、日本、中国、南アフリカ、チリ、ハンガリー、台湾、トルコという世界10ヵ国のグローバリゼーションの比較研究をするというプロジェクトが過去2年続けられ、2000年6月にボストン大学での最終研究集会をもって、そのプロジェクトは一応終了しました。そもそもは佐藤先生が日本の研究責任者でいらっしゃいましたが、私は佐藤先生から一緒に研究しようとお誘いを受け、この研究会に参加しこれまでやってきた次第です。その研究プロジェクトでは、これまでボストン大学で数回の国際会議を行ない、昨年夏にイタリアのべラージオでも会議を行ないました。プロジェクトに関しては各国のディレクターが任命され、各々共同研究者がいます。
私どもの研究グループは、佐藤先生亡き後、私の他に社会学の筒井清忠京都大学教授、同じく京都大学の佐伯啓思教授、政策研究大学院大学の岡本真佐子助教授、姫路獨協大学の竹村英二助教授と、私を含めて5人のメンバーで構成されています。今年3月には、そのスポンサーであります日本財団と(財)世界平和研究所に対して、「グローバリゼーションに伴う制度と文化の変容」という研究報告書を提出しました。また、ピーター・バーガー教授のプロジェクトに関しては、今年6月に“Aspects of Globalization in Contemporary Japan”と題する英文の論文を最終報告として提出しましたが、これはサミュエル・ハンチントン教授とピーター・バーガー教授の共編による本として、2001年に英語で出版される予定です。
日本のグローバリゼーションについて簡単に要点だけ申しますと、グローバリゼーションという言葉はこの10年位非常によく使われるようになりました。最初はそのプラスの面が非常に強調されたが、現在では、マイナスの面も同様に指摘されるようになった―それは事実であります。一方、グローバリゼーションは、現在、世界を覆うスローガンとして一番強く、頻繁に使われている言葉の一つでもあります。
グローバリゼーションという言葉を使うに際して注意しなくてはならないのは、今いわれているグローバリゼーションの中身というのは、大きな意味では、日本が近代国家として出発した19世紀の中葉から西洋化、近代化という波を受けながら日本という社会が発展してきた過程で、20世紀における最後の段階で出現した現象だということです。つまり、西洋化、近代化、グローバル化というステップです。また、グローバリゼーションは外部からのインパクトであり、我々にさまざまな社会的な変容を迫る、あるいは価値意識の変容を迫る巨大な波でありましたし、また今でも巨大な外部からの波として影響を与えているということです。