これから非常に複雑な事業になってくると、そういったところに非常にニーズがあるが、韓国はそういう進んでいる面があるということでございまして、私も韓国の技術的な潜在力をそんなに高く評価しているわけではありませんが、進んでいる面もある。したがって、みておかなければいけない点があることは、1つ事実だと思います。
最後に、私は、これからのITで一番重要なのは人間そのものである。人間力が結局は勝負である。さっきの安全保障のお話にも絡みますが、やはりソフトパワー。これからは、ハードよりもソフトパワーをどう高めていくかということが結局は決め手であり、それはただ単に学校教育だけの問題ではなくて、社会全体の知的レベルを上げようという新しい風を起こそうと。新しいムードを起こそうということが非常に大事だと思っています。
○坂村 大きく言えば、日本はやはり日本独自が出せるかどうかということが、今世界から最も注目されていることだと思うのです。要するに、アメリカとは違った道ができる。何回も言いますように、世界で独自のいろいろな結果が出せる唯一の国だと私は思うのです。やはりアメリカは強いですから、そういう中でどこまでできるか。そのときに、ITというのは情報流通をよくするということであれば、やはり最後は文字が重要だと思うのです。
ちょっとみていただくとわかりますように、世界でいろいろな国で、いろいろな文字が使われていまして、今中国でもそうなのですけれども、インターネットをやって、一番使われている言葉が中国語なのです。何かインターネットだから英語だっていわれているのは、確かに英語はもう国際的なプロトコルとして絶対重要ですから、それが重要ではないというのではなくて、やはりその国の言葉ではその国の言葉が重要になりまして、中国だったら中国語なのです。ですから、インターネットで英語が使われている相対的価値というのは下がっているのです。当たり前なのですけれども、中国人がみんな使い出せば、みんな中国語ベースでやるようになります。そうなると、なかなかアメリカベースのコンピュータにうまく言語が載らないのです。
ですから、今日本ができることといったら、やはりアジアの中の日本というと、そういう他文字を扱っている国は、やはりアジアなのです。アメリカ人からしてみると象形文字ですから、何でこんなものを載せなければいけないのということになって、彼らにとって必要ないからやらないのです。