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日本の場合独占反対とまたちょっと違う、強くなるとけしからんという考え方があるのかなと思うのです。

 

○福川 このIT主導の経済が、今までの物主導の経済とどこが違ってくるかというところが1つあると思います。さっき坂村先生がトロンをほとんどただでとおしゃっていましたが、確かに、情報を取得する限界費用というのは非常に小さくなって、ほとんどゼロになるだろうと思うのです。これは、定額でとれれば幾らでももちろん出ていきましょうし、競争も激しくなるからということもいろいろあると思います。

したがって、どういうことが起こるかというと、やはり情報と情報を組み合わせることによって、新しい価値をつくる。それは、そういう能力のある人はどんどん強くなるという性質があると思うので、今までは収穫逓減の法則が働いたけれども、これからは収穫逓増の法則が働く経済になります。むしろ、エコノミー・オブ・ネットワークが働きます。いいネットワークをもっている、質のよい、量の多いネットワークをもっている人がますます大きくなるということがあると思います。

ですから、私は情報独占というか、独占の形態の問題というのは非常に出てくるわけですが、そのときに、どういう形で知的所有権を保護し、どうして分割するかというときに、技術開発の進展と競争の比重のパフォーマンスとのバランスで、そこは考えざるを得ないと思うのでありますが、やはりアメリカのように、例えばマイクロソフトだとか、インテルだとか、分割しようというのが出てくるのを、そういう可能性がある経済分野なので、その対策は確かに必要だと私は思います。

したがって、もちろん通信のインフラの料金を下げるためにどうするかという問題は、どちらかといえばハードに近い分野で、その問題と、新しい情報価値の扱いについて、市場競争と技術開発とをどう進めるかという問題とが両方あるわけです。日本ではよくごっちゃになって、NTTの分割と一緒にしますが、そこは、やはり違った原理が働く可能性があるのだろうと私は思っています。

 

○モデレーター ありがとうございました。最後、一言ずつパネリストの先生からお願いします。

 

 

 

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