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そうすると、日本は戦争しないのだから戦略があるのはおかしいみたいな話になるのですが、そうではないですよね。別に戦争しなくたって戦略は必要ですよね。国をやっていく以上、戦略は絶対要ると思うのです。その意識がやはりないのではないかと思います。

 

○モデレーター 平和研としては、ITと安全保障の研究を鋭意これから始める予定でおりますけれども、私、私見ですけれども、イージス艦とか警戒機等々、P3Cなんかも使って、ほとんどIT、電子化の中で、日米関係は非常に有効に機能していると思います。ですから、ITだから日米関係をどのように変えるかということではなくて、むしろその中でお互いにロールプレイングがどのようにできるかということを、IT時代に考えていきたい。DARPAは、アメリカが基本的に安全保障という名目でいわゆる技術開発をやったのは、坂村先生の言われたとおりです。アメリカの科学技術補佐官も、憲法上はDARPAのことをやるようになっています。アメリカはそういうシステムに非常に秀でております。日本は、戦後そのようなシステムにはないので、むしろ国家戦略を考える上で、日本はどのようなIT戦略を考え、その中に安全保障というものも考えていくのが1つの考えではなかろうかと個人的には思っております。これは平和研の公式見解ではございません。

 

○坂村 もう1つ、米国で私が、非常に注目しているのは、アメリカンメモリーという変わった計画です。これは何かというと、アメリカの議会図書館が中心にやっているもので、アメリカの建国以来の情報を全部コンピュータの中に入れるという壮大な計画なのです。その原点にあるものは、アメリカはすべての情報は、いつかは必ず全部公開する、オープンにするという思想があると思います。日本にはちょっとないのではないでしょうか。例えば、ここにいらっしゃる方が誰もいなくなった 500年後に、今どういうことがあったかということは、秘密でも何でもないです。全部歴史的な事実になるわけですから。それをもうちょっとはっきりさせると、米国の場合には、例えば 100年たったら全部オープンだとか、そのときに、どのようにコントロールするかだけなのです。どうせコントロールするのだったら、軍事的なそういう機密でも、今の子孫のために、自分たちの子供のためにどこかで経済戦略にとりかえるように公開してしまった方がいいというところが早まるか、遅まるかだけであって、必ず最後は公開してしまうのです。

 

 

 

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