そこに随分なお金をとる。しかも、国家でつくったものを最終的に民間に転換していくところがうまいのです。いいよといって、ぱっとやらせるわけです。そのときにベンチャーが出てくるのです。ですから、そういうあうんの呼吸になっているところが日本は何もないですから、どうにもならないわけです。
また、1990年にソビエト連邦が崩壊してから、インターネットが一般に登場したのですけれども、ポイントはやはり、常時接続の高速なインフラを整備して、利用者にはサービスをただに近い費用で提供して、リッチなコンテンツは有料で提供するという戦略できていましたが、どうも失速し始めている。これと似たような話で、非常に私が気になるのが、カリフォルニアの電力危機です。私は米国には非常によく行きますし、向こうにも私のスタッフが5人ぐらいいて、米国とはしょっちゅうやりとりをしているのですけれども、最近たまらないのは、電話していたりなどしても「あっ、電気が切れた。はい、今日はおしまい」という感じなのです。どういうことが起こってしまっているかというと、カリフォルニアは、平気で電気が切れるのです。特にシリコンバレーはもうめちゃめちゃになっています。
アメリカがどういうことをやったかというと、何でもいいから自由化しろとやった場合、品質の保証が全くないのです。とにかく、この話を細かくし出すと、これだけでも1時間話せますからやめますけれども、簡単にいうと自由化をやったのです。何でも自由化をしろというので、電力料金まで自由化しろといったのです。それをやった結果、どうなってしまったかというと、電力会社がどんどん倒産して、もうからないものはやらないといったら、誰もやらなくなってしまった。要するに、今、どこが一番ひどい目に遭っているかといったら、個人です。一番最初に、当然ですけれども、公共の病院とかは、さすがに落っこちるとまずいというので、電力事業は今、州の管轄下になったのですけれども、どうでもいい個人はどうでもいいと優先順位が最後になるので、いきなり電気が切れるのです。私の知り合いは向こうに住んでいても怖いといっていました。特に、犯罪も多いところですから、電気が切れてしまったりすると、やはり怖いです。そういうことが起こっているわけです。
ですから、私が非常に危険だと思うのは、NTTも何でも分割しろ、もっと競争原理を厳しくしろということだけで一体いいのかというのが、何かやはり、こういうところでこういうことをいっていいかよくわかりませんけれども、何となく陰謀を感じます。