パソコンよりも携帯電話の方が多いですから。全世界で、去年でも1億台ぐらいつくられているわけです。1円もお金をとっていません。私が設計して、私が広めたものなのですけれども、それに対してのロイヤリティーというのをとらないために、よく言っているのですけれども、マイクロソフトのビル・ゲイツさんに比べたら、何百倍使われていても、お金は何百分の1どころか、何十万分の1もないのです。
ですけれども、このオープンアーキテクチャーというのは、私はトロンだけではなくて、リナックスでもそうなのですけれども、インフラに相当するところでお金をとらないというのは、世界的な流れです。こういうところでお金をとるというのは、日本語をしゃべったら5円払え、英語は 100円という話ですから、そんなばかなことをやったのでは、全然人類のためにならないのです。ですからそういう意味で、やっと最近、誰か特定の人のもうけよりも、もう少し人類全体のためにどういうことをやるのかということに注目が移り始めているのです。徐々にそうなってきています。
次に、ユビキタスコンピューティング (Ubiquitous)、どこにでもコンピュータという言葉がありますが、いろいろなところにコンピュータをもっていこういうことになってきました。私は、非常に小さなコンピュータの研究もしています。小さいというので、よくおみせしているのです。私が研究室でやっているものなのですけれども、大体32ビットのマイクロプロセッサー、これぐらいのケースの中に入ってしまうぐらいの小ささなのです。このぐらい小さくなってくると、いろいろなところに、これを1個100円ぐらいでつくろうという話がありまして、こんな小さくてどうするのだ。電池がない。これは小電力で電池を送るということになると、電波で電力供給をするのです。1個100円ぐらいになりますと、例えばここにありますように、薬の瓶につけられます。何回も私のところで実験しているのですが、もし薬を間違えて飲むと副作用を起こすような場合でも、これが副作用を起こしそうな場合になると自動的に携帯電話に電話がかかってきて、危ないから飲まない方がいいということができます。次にこれは環境保全にもなるのですけれども、コストが100円ぐらいですと、壁とか天井にも埋め込んでおけるので、この建物をいつか壊すことになり、焼却炉の前にもっていくと、どういう処理をしないと、このものからは有毒ガスが出るということを焼却炉に知らせことができるようになります。ですから、そういう小さなコンピュータというのは非常に重要です。