そういう意味で、パソコンはもうおしまいだ。かき入れどきの感謝祭の休日でも、PCが全然売れなかったということです。
ただ4、5年でパーソナルコンピュータがなくなることはありません。これは今から10年前に、大型計算機でなくて、パーソナルコンピュータの時代だといわれても、大型計算機が今、なくなっているわけではないですから、大型計算機と同じようにPCがなくなってしまうということはないのですが、とにかく相対的な位置は、重要性はどんどん減ってきます。これは、コンピュータサイエンスの世界でそうなっているわけです。
そういうことになると、日本ではアメリカの後追いをしているようなところが随分ありますから、まだ日本ではPCは絶好調なのですけれども、これからだんだんなくなっていくようになっています。それに比べると、インターネットの接続の携帯電話というのは、去年だけで 2,200万台出まして、半年足らずで利用者が倍増しているのです。そういう意味では、パソコンは半年で 563万台ですから、こちらの方が圧倒的な伸び率になっているわけです。
トロンというのは、すでに言いましたような携帯電話に使われるということと、もう1つはオープンアーキテクチャーであるという2つで、非常に大きな注目をされるようになりました。こういうことがどんどん進んでいって、コンピュータサイエンス、もう少し今のITがどうだとか、株がどうだというのではなく、もうちょっと長い目で見ると、一体コンピュータはどうなっていくのだというと、やはり、トロンというのはリアルタイム・オペレーティング・システム・ニュークリアスということからもおわかりいただけますように、リアルタイムというのは、実世界という意味です。実世界でリアルタイムにこういう…。私たち人間というのは、バーチャルな世界に住んでいるのではなくて、実際の世界に住んでいるわけですから、生活の中の空間で使われるようなコンピュータというのが、これからは一番重要になるだろう。そういうものの、オペレーティングシステムというのは、非常に基本的なソフトで、ニュークリアス、核という意味ですから、中心になるものという名前がついているプロジェクトなのですけれども、そういうことで進めて。
このオープンアーキテクチャーというのも、私はこれをつくったもので、何回もいろいろなところで言っているのですけれども、今、マイクロソフトが使っているコンピュータの何百倍もトロンのコンピュータは世界的に使われています。