それは、実は2つの側面があって、1つは共同でそこで事業をしよう、大いに発展をさせようということで、いい技術開発の種がないか、いい事業の種がないかということで、その大学との連携をしていくということになります。もう1つは、人材養成との関係がございまして、一定の時間に余裕を与えながら、大学の教育を受けさせる機会を与える。できることなら、能力がある人はそこでPhDをとらせる。そのために、労働時間でも月にある程度自由度を与えるということであります。最近では、例えばスリーエムなどという会社では、時間の15%は好きにやっていい。自分の好きな研究をやっていい。会社からこれはと指令されるようなテーマだけでなくて、自分の好きなものを15%はやらせるということになって、ある程度の予算もつけるということになりますが、そういうことになると、そばに大学があるというのは非常にいい。
したがって、事業の種をつくるということと同時に、人材を育てるという意味で、産学連携というのは、非常に今進んでいるというのが向こうの現状であるわけであります。ところが、これが日本ですと、それがなかなか十分に進んでいない。私も通産省におります頃から、産学連携ということは随分いってまいって、多分、話題になってからもう20年もたつと思いますが、なかなか十分成果が上がらないというのも事実であります。それは、多分に大学にも責任があるかもしれないし、企業にも責任があるかもしれない。しかし、これから本当に知的に伸びていくとすれば、私は産学連携をどのように伸ばしていくかということが大問題であると思っております。
最後に一言。Iジャパンと私はいっているのですけれども、中曽根元総理はEジャパンとおっしゃいましたし、ヨーロッパではEユーロップといっておりますが、私は、ITのねらいというのはIだろうと思っております。Iというのは、いろいろな意味があります。もちろん、インフォメーションのIでもあったり、iモードであったりいたしますし、インテリジェンス、インテレクトのIかもしれませんし、アイデアのIもあるかもしれません。イノベーションのIだと私は思っております。Eというと何となく技術的な側面に関心が当たっているようなことで、やはりITというのはあくまでも手段でありますから、その手段を使って、どのような新しい価値をつくっていくか。公文先生のおっしゃる知業をどのように伸ばしていくかということにかかわってくるわけでありますので、私はイノベーションジャパンというのが、これから目指すべき方向ではないかと思いますし、その可能性は、今、これからの変化からいうと、十分残っているのではないかと思います。