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電子商取引も、ほぼ同じようなことで、特に今、BtoCではかなり立ちおくれているということもありますが、BtoBでは、これから伸びていく可能性も十分あるように思っております。現に、あるアメリカのベンチャーキャピタルなどでは、BtoBについて、むしろこれから伸びるということを考えて、中心に研究をしているところも現れておりますけれども、日本でも製造業、特に自動車とか、あるいは電気、電子製品などのBtoBの電子商取引というのは、これから非常に伸びていく可能性があるように思っております。

それから、日本も流通機構が非常に複雑だといわれておりますが、コンビニだとか駅のキオスクというもの、あるいは郵便局というものを使った形でのBtoCの商取引というものの可能性は非常にある。アメリカなどの場合では、宅配ということが中心になりますが、必ずしも宅配だけでなくて、既存の流通を使っていく商売もいろいろできてくると思います。日本人の場合は、比較的現金決済、あるいは銀行、郵便局決済が好きですけれども、もしそういうことになってくると、コンビニあたりをそういう新しいタイプの銀行的に使えば、それはまた非常に伸びるという可能性がある。したがって、今日本はおくれているといわれながらも、これから伸びていく分野があって、アメリカの第3段階から第4段階に行く間に日本は知恵を集約していけば、第4段階に一挙に行ける可能性もあると私は思っているところであります。

経営のところのお話をしてみたいと思います。先ほど申し上げました通り、私は先週、アメリカに行って、何人かの経営者とお話をしてまいりました。公文先生がおっしゃるように、非常に不安な要素を感じているのは事実ではありますが、経営者が非常に自信をもっていることもまた事実であります。向こうの人たちが今、非常に大きな関心をもっている経営のキーワードは、プロダクティビティーとエクスペリメントだと私は感じております。このプロダクティビティーといっても、日本ですと看板方式だとか、提案制度だとか、あるいは生産の合理化だとかプロセスイノベーションという形で進んでおりますけれども、向こうの場合は、どちらかといえば、全体最適のプロダクティビティーは何だという議論が非常に中心になっているように思います。日本では、どちらかといえば部分最適で、特定の分野の生産性は非常に上げるということですが、トータルとしての全体最適の生産性をどう上げるかということでございます。それは、なかなか測定が非常に難しいということで、今、いろいろ議論をしておりますが、新しい価値を創出するために、どのように知力の発揮をしていくかというところに関心があるように思います。

 

 

 

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