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それから第3に、私が第1次情報革命と呼ぶような狭い意味での情報化がある。こういうことであります。

この点についての自覚が、今のところ各国とも非常に不十分でありまして、また、アジアでは、むしろそういうことに気がついた政府は、どちらかというと抑圧をする。余り勝手に個人の知民のパワーを発揮させたのでは、政権が危なくなる。あるいは体制が危なくなるといったような懸念もみえております。しかし、例えばアメリカの中で、特に若い世代では、いわゆる競争とか闘争という価値に対して、共同、コラボレーション、あるいはそれこそ愛、理解といったような価値を重視する傾向は、紛れもなくみえている。情報化、あるいは近代化の先進国において、まさにそういう変化が起こっているというところがIT革命の興味深い側面であります。

そうであるとするならば、我々は、特に日本は何をすべきかということですけれども、いうまでもなく、この第3次産業革命、いや、第1次情報革命を推進していかなくてはいけないわけですが、その両方を、いわば絡ませたところに考えられる発展の新しい方式として、いってみれば第3の道というべきものが考えられるのではないかということを申し上げてみたい。つまり、これまでの公優先、典型的な社会主義、それから私優先、全くの自由市場資本主義のいずれでもないというか、いわばその真ん中、中間に属するような公と共と私の共同、協調をもとにした経路であります。私はそれを地域中心の、いってみればグローカル、グローバルな配慮もありますけれども、行動はローカルという意味でのグローカルという言葉がありますが、グローカルパスだと呼んでおります。もちろん、グローバルパスに当たる多国籍企業を念頭に置いた、また、大都市、先進国中心の本来の資本主義の道は当然残ると思いますけれども、それだけでは十分な展開は得られない。とりわけ中小都市、あるいは農村部、あるいは途上国におけるディバイドの拡大を防ぐためには、いってみれば、単に営利を追求しているだけではとてもやれない活動をグローカルパスという形で推進していく必要がある。ここに、いわば大競争に対する大共同、共のパラダイムと書いてございますけれども、新しいパラダイムを求めることができるのではないでしょうか。それがうまくいけば、それこそ新しい情報社会、それから、これまでのニューエコノミーとは一味違う、いってみればニューニューエコノミーとでもいうべきものが考えられるのではないかということを、とりあえず申し上げてみたいと思います。

 

 

 

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