あるいは知的財産権とか、著作権とか、特許権もそうですけれども、こういうものに反対する、全部公開しろといった議論がだんだん声を強めています。また、特に商社などがもっている取引に関する情報、原価は幾らか、納期はどのくらい、在庫はどこにどれだけあるかというものをすべて公開して、マッチングを売り手と買い手が直接やろうといったようなことがインターネットの中で起こるようになっておりますので、そういった点からも、これまでの利潤の源泉になっていた要因が、急速に消失しつつあるということは事実だと思います。そこまでいうと誇張になるかもしれませんけれども、そういった傾向は確かにございます。
2番目の要因は、これまでのいわゆる貨幣を通じて、貨幣に媒介されていた経済の循環の中で、商品ではない、つまり一方的にもらったり、上げたりするという形で回していくとか、あるいは、準商品と言いますけれども、いわゆる地域的な通用範囲が限られている通貨を使って、物を売ったり買ったりしよう、そういう準商品経済の比重が全体の経済の中で増加しておりまして、これがなかなか国民経済の統計に乗らない、あるいは税金をかけるのが極めて難しいというところが出てきております。
それから、さらに申しますと3番目、そもそも利潤を獲得している企業は何であるのか、どこに境界があるのかということもよくわからなくなっている。後で坂村先生からお話があるかもしれませんけれども、今、コンピュータへの不正なアクセス、犯罪の7割から8割が内部からの犯罪だそうでありまして、外に対して守っても、中から堀り崩されるのでは大変でありますし、あるいは内部告発ということも非常に増えてきております。そうかと思うと、外側から企業に対していろいろ物を申す。いろいろ介入をする。このようにしろ、あるいは我々の理念に従わなければ投資をしない、もうけは二の次だといったような動きも出てきているといったことを考えますと、確かに苦しい。あるいはビジネスモデルそのものを変えていかなければ、資本主義は存立しにくいのかなといったような気もいたします。
しかし、同時に、もう1つ、変調といえば変調でありますけれども、昨年、あるいは一昨年の後半以来、新しい発展も、ほとんど瞠目したいといいたいくらいの早さと規模で起こっております。そこでは、アクティビズムとPtoP型システムと名づけてございますけれども、その第1は、先ほど薬師寺さんが紹介してくださいましたが、新しいタイプの知業、智民と呼ばれるような組織や個人が台頭してきて、非常に積極的に自分たちの目標、理念を掲げ、それに対立する国家や既存の企業を批判する。