これに対応して、ビジネスセクターは、成長の源泉として市場機能を活用するのみではなく、より大きな社会的な責務を負うことが必要であろう。加えて、将来的に、非営利部門がより大きな役割を果たしていくことが期待されている。
政府の非営利部門への支援については、資金調達・遂行能力の高度化・透明性確保等に対する支援、制度的インフラ整備に加え、一般の非営利部門に対する認識を高めるということも必要であろう。
この後行なわれた質疑応答等では、1]政府の役割を補完するという意味でNPOの拡大は望ましい。一方で、NPOが代弁人としての活動を強めることにより、合法的な代議制を弱め、民主主義に逆行する危惧がある、2]政府の大きさとNPOの大きさは一般に代替的だが、場合によっては補完的にもなる、などが議論された。
第3セッション 「国際社会でのNPOの役割」
第3セッションでは、ケニース・ギウンタ インターアクション理事長代行、メリー・カルドア LSEグローバルガバナンス研究センター教授より報告がなされた。
ギウンタ氏は、以下の点を指摘した。
インターアクションは米国最大の民間ボランタリー組織の連合体であり、165の加盟組織から成り、全体の予算を合計すれば30億ドルを超える規模になっている。これらNGOの役割としては、人道的支援や災害復旧、難民保護、更に国際開発など広範に及ぶが、政府とも協力して活動できる分野もある。
NGOにとってもIT(情報技術)は重要で、インターアクションではワーキング・グループを組成したほか、電子メールでの会議室を設けて、メンバーの間でベスト・プラクティスとなるものを集積している。政府レベルでも先の沖縄サミットでグローバルなデジタル・デバイドが話し合われたが、インターアクションでは米国ホワイトハウスとも意見交換している。
私自身、日米コモン・アジェンダ・パブリック・プライベート・パートナーシップという日米のNGOと政府、ビジネス関係者との協調を促進することを目的とする組織の共同議長を務めているが、米国大統領がブッシュ、ゴアのいずれとなったとしても、この分野での日米の協力関係は非常に重要であろう。既に、パートナーシップは議論の段階から実践の段階に移っている。
カルドア氏は、以下の点を指摘した。
私は学者としては反戦、非核そして安全保障についての研究を行っているが、自分自身こうした分野でNGOの一員として取り組んでいる(「ヘルシンキ市民の会」の共同議長、コソボ危機の国際調査コミッションのメンバー)。